この恋、難攻不落につき。2 (ページ20)

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68話ページ20

…

こういう時、大毅は私と智洋を2人きりにしたがるから、今日もどこかへ行ってしまうのかなと

ちらっと隣を見ると

あの子と…楽しそうに笑い合う彼の姿があって。

まるで私たちなんか見えてないかのように

2人だけの世界、みたいに。

それが…悔しくて。

聖菜ちゃんは、智洋に髪を結んでもらう私を見て機嫌を悪くしたのか

無言で立ち上がるとどこかへ行ってしまった。

智洋「じゃあ、髪の毛巻いていくな？」

智洋は、どこからかアイロンを取り出すと

丁寧に私の髪の毛を巻いていく。

「とも、アイロン持ってきてたん？」

智洋「そ、コードレスのやつ。さっきもこれで大毅の髪の毛セットしてあげたんやで」

得意げにそう言うと、大毅を指差す。

…たしかに、今日の大毅の髪型は

いつもよりかっこよさが増している。

これじゃ、あの子だけじゃなくて…他の子まで大毅のこと好きになっちゃうよ。

智洋「よし、でーきた」

最後に青いハチマキを巻いて、私の髪型が完成したようだ。

智洋「うん、めっちゃかわええ。」

正面から髪型を確認すると、ほんのり頬を赤くする。

大毅「うわー、ほんまに智洋天才やん。めっちゃすごい！」

私のことなんて気にしてないと思ってたのに、突然隣から覗き込んできた大毅。

智洋「な、めっちゃかわいくできてるやろ？」

智洋の問いかけに、

大毅「ん、かわええ。」

私に、言ってるんじゃないって

智洋がやってくれた髪型に対しての言葉だって

理解してても、体温が上がっていくのを止められない。

「…鏡、見てもええ？」

彼が、可愛いと言ってくれた髪型がどんなのか

早く確認したくて。

智洋が渡してくれた鏡を見つめて、驚いた。

「えっ……めっちゃかわええ！！ほんまにありがとう、とも！」

そこには、さっきのボサボサ頭が信じられないくらいかわいくなった私の姿が。

高い位置でゆるくポニーテールされた髪の毛は、全体的にゆるふわに巻かれていて

サイドには編み込みがされている。

そして、青いハチマキは大きなリボンのカチューシャみたいに結ばれていた。

ほんまに、智洋って器用やなぁ。

智洋「喜んでくれて、よかったわ。…今日は、この中の誰よりもAがかわええ自信ある。」

照れ臭そうに、耳まで真っ赤にしながらそう言った彼に

もう一度お礼を言ったところで、開会式を始めるアナウンスが聞こえてきた。

…