この恋、難攻不落につき。2 (ページ26)

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74話ページ26

…

ただ、がむしゃらに走った。

ゴールテープを切って、見上げた先には……

「……1位？」

まさかの、1位の旗。

その瞬間、凄まじい歓声が聞こえてきて。

“ヒュー！！”だの、“お似合いー！”だの、“幸せになれよ！！”だの、……

え、なんかみんな勘違いしてない？

もしかして私がサプライズくじ引いたと思ってる？

女の子たちの、すすり泣く声も聞こえてくるような………

流星「…なんか、めっちゃ注目されてるやん俺ら。」

息切れしてしゃがみこんだ私と違い、隣の流星は余裕そうな表情。

彼を見上げた拍子に、繋がれたままの右手が目に入って

彼のファンである女の子たちのためにも、慌ててほどいた。

流星「…で、なんで俺やったん？」

にやにやと、妖しい笑みを浮かべて私と同じ目線になるようにしゃがみこむ。

…きっと、彼が期待しているようなことは書かれていないけど

私が引いたくじを見せつける。

流星「親友……か。」

だけど私が思っていた反応とは裏腹に

嬉しそうに微笑んだ彼を見て

私も、嬉しくなった。

結果、第2走者は青団が勝って

私は上機嫌で応援席に戻る。

途中、たぶんサプライズくじを引いたであろう

あの黄団の女の子が

泣きながら友達に慰められているところを見て

悪いことをしてしまった、と反省した。

そして、第3走者は黄団が勝ち

最後の第4走者に期待が高まる。

第4走者には、大毅の姿が。

それだけで簡単に心拍数が上がってしまう。

きっと、彼がどんなくじを引こうが私が選ばれることはないのに

ドキドキ、心臓がうるさい。

スタートの合図が鳴って、1番にくじを引く場所にたどり着いた大毅。

だけどくじを引いたあとの表情が

一瞬、歪んだ気がしたのは気のせいだろうか。

そのまま、悩むように眉間にしわを寄せながら立ち尽くす。

さっきの私みたいに

難しいお題だったのかな。

1番最初にくじを引いたはずなのに

彼が動き出したのは1番最後だった。

何かを決心したような

真剣な表情に、心臓がドクドクうるさい。

そのまま彼の表情に夢中になっていたから、

流星「……え、」

その、綺麗な顔が

目の前まで来ていたことに、気がつかなかった。

大毅「…ちょっと、借りるわ。」

一瞬だけ流星に目配せし

私の腕を掴んで走り出した。

…