73話 ページ25
…
午後の種目一発目は、3年生の全員リレー。
しかも、アンカーはあの3人。
けどこの全員リレーでは崇兄のおかげもあってか青団が勝った。
「ふふっ、あとで淳太にお疲れって言ってこよ。」
流星「へとへとすぎるやろ。淳太も歳やな〜。」
種目が始まってからは、さっきまでの険悪な雰囲気が嘘だったかのように
私と流星はまた、隣同士で応援をし始めた。
次は私が出る棒引き。
これまた私のおかげで(？)青団の勝ち。
流星「おつ〜」
「いや〜ちょっと青団いい感じやない？」
そんな風に次々と種目が終わっていき、次は1番盛り上がると言っても過言ではない借り物競走。
「じゃ、行ってくるわ。」
流星「がんばれよ」
またしても私の出番。
けど借り物競走ってちょっと緊張すんねんな…
なぜかって、うちの学校の借り物競走は『借り物競走』という名の借り人競走だから。
つまり、物を借りて走るんじゃなくて
人を借りて走るのだ。
毎年、みんなを盛り上げるためにサプライズくじとして
“好きな人”とか書かれた紙が入っているので
走る側は、そういうくじを引かないよう願うばかり。
今回は第4走者までいて
私はちょうど第2走者目。
合図とともに競技が始まって、第1走者は赤団が勝った。
そしてついに私の番。
最初の30mは普通に走って、その後くじを引くことになっている。
私の隣にいた黄団の子が、もうすでにくじを引き終わり人を探しに行ったので
私も慌ててくじを引く。
私が引いたくじに書かれていたのは……
「…………親友？」
きっと、他の人だったら簡単なお題でラッキー、なんて思えたんだろうけど
私にはこのお題が難しすぎて。
だって、私に親友と呼べる友達なんていたっけ？
昔の私なら、迷わず由紀のところに行っただろうけど
今の私たちはもうそんな関係じゃない。
必死に考えてみるけど
思いつく人なんて………。
…だけど、最近のことを思い出してみたら
1人だけ、思い浮かぶ人がいる。
親友って、言っていいのかわからないけど…、
崇裕「Aー！何してん、はよ探してー！！」
崇兄の声に、ハッとする。
ようやく動き出した足は、一直線に彼の元へ。
紙に書かれた文字に、顔を赤くしながら
恥ずかしそうに、彼に声をかけようとするさっきの黄団の子よりも先に
彼の腕を掴み走り出した。
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年9月27日 0時
