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5話 ページ6









由紀「あ、今日の髪型可愛いなぁ」



由紀は私の髪の毛に指を通すとくるくると弄び始めた。



由紀「また智洋にやってもらったんやろ?毎回毎回ようやるなぁ」



他の人が聞いたらきっと何でもないただの会話に聞こえるかもしれないけど

その裏に、私への嫌味と妬みが混じっていることなんて容易に感じ取れて。



「ほんま、体育するだけやのに毎回凝ってるよな。嬉しいけど。」



そんな彼女の意図に気づかないふりをして素直に喜べば

また、その瞳の奥に私への苛立ちが増した気がする。





今日は隣のクラスと合同でバスケをするらしいから、私たちは体育館へと移動する。


いつも一緒にいる私たちを

側から見れば仲の良い幼馴染みだと思うだろうけど

そんなのただの見せかけで。


心の奥の方は、もうずっと昔に壊れている。

お互い上辺だけの “仲の良い幼馴染み” を

もう何年も続けてきた。





望「A!ちゃんと俺のこと見といてや?」





体育館に着くなり待ってましたと言わんばかりに私に引っ付く望に曖昧に微笑んで

隣からの嫉妬の眼差しを感じながら

そのままギャラリーへと向かう。





由紀「A?どこ行くん?」


「今日はサボる。先生に具合悪いって言っといて」





彼女が私がいなくなったことで少しホッとしたような

だけど頼みごとをされて心底面倒臭そうな表情をしたのを見届けて



いつも体育をサボる時に使うギャラリーへ上る。

うちの体育館のギャラリーは広い方なので

死角になる場所も多くてサボるのにはピッタリの場所だって

いつかサボリ魔の彼が言っていた気がする。






地面に寝転がって目を瞑ってみる。

ポニーテールが潰れて痛かったのでゴムを外すと

編み込みをしていた髪がスルスルと解けていって。


あーあ、さっき結んでもらったばかりなのになぁなんて

心にもないことを思い浮かべたりして。



前の日から今日はサボることを決めていたけど

智洋といれば嫌でも彼が見てくれるから

仕方なく髪の毛を結んでもらった。



…なんて。


私はいつからこんなに最低な人間になったんだろう。









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作者名:ホワイトモカ x他1人 | 作成日時:2019年2月21日 20時

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