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11話 ページ12










今日はギリギリ遅刻じゃない、と自分に感心しつつ


教室に入った途端視界が真っ暗になった。





見なくてもわかる。

この甘い香りは………





「…望?」





そう呟くと、私を抱きしめていた腕が緩んだので顔を見上げる。


今にも泣き出しそうな子犬みたいな顔してる。


思わず、くすっと笑ってしまった。




望「なっ、なんで笑うん!?」


「だって、可愛いなぁと思って。」




そう言って頭を撫でれば、照れ臭そうに

だけど少し怒った表情で目を逸らした。




「昨日は、ごめんなぁ。体育も授業もサボって。しかもLINEも返せなくて。昨日望のLINE見た後すぐ寝ちゃったから、返せなかってん。許してくれる?」




上目遣いに見上げれば

許してくれることなんてわかりきってる。



だけど怒った表情を崩さない彼に、トドメの一言。




「昨日、望のバスケ見てたで。シュート決めて、すごかった。流星より、かっこよかったで。」




耳元でそう呟けば

その瞳が歓喜に満ち溢れていって

また私の心を満たしてくれる。



今日登校中に考えた望のご機嫌を取る方法。

特に流星より(・・・・)ってところを強調すれば

一発だ。




望「見てくれてへんって思ってた…」


「だって、約束したやろ。望のバスケ見るって。」




そう言えば、またみるみるうちに顔を赤くして


あーもうほんまあかん、なんて俯いた。




「ん?何があかんの?」




何も知らないふりしてその真っ赤な顔を覗き込もうとすれば




望「っ……ほんま、そういうとこやでAは!…他の、奴には…そんな可愛いことせんといて?」




なんて、不安そうに見つめてきて。




「よく分からんけど…望にだけ、やで?」




首を傾げて顔を近づければ

もう、こっちのもんだ。




また一気に赤くなった彼を見て

ほんま単純…と思いながら席に着く。



その間もずっと望の視線を感じて

また私から離れられなくなった彼を心の中で嘲笑った。









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作者名:ホワイトモカ x他1人 | 作成日時:2019年2月21日 20時

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