125話 ページ28
…
大毅「今日、いつもんとこ人がいっぱいで、別の場所取ったんやって。やから今から淳太が迎えに来るらしい」
そう言って、大毅が私の隣に腰を下ろした時
少し遠くの方から花火が始まるアナウンスが聞こえてきた。
「っ、…ごめ、ん」
大毅「え？」
「…花火、もう始まるみたいやから」
“別に、毎年見てるしそんなんええよ”って、笑ってくれたけど
…大毅に相当迷惑かけてる自分が、恥ずかしい。
ドーーン！
突然、思っていたより近くから鳴ったその音は
毎年見ているはずの花火が打ち上がった音で。
体中に響くその音の余韻を感じながら横を向けば
「っ、」
夜空に咲いた大きな花火の光に照らされ、鮮やかに美しく輝く彼の横顔。
その瞬間、いつかの流星の言葉が頭の中を木霊した。
“夕日に染められたあいつ見とったらさ、気付いたら好きって言ってた”
あぁ、たぶん
こういうことだ。
あの時の流星の気持ちが
いま、痛いほど伝わってくる。
「…すき。」
口から零れたその言葉は
ドーーーン！
ちょうど真上で美しく咲いた花火の音にかき消された。
………なのに、
大毅「……………え？」
あなたはどうして、聞き取ってしまうんだろう。
聞き逃してくれたなら
聞こえなかったフリをしてくれたなら
ここで止まることが出来たかもしれないのに。
「大毅のことが………………ずっと昔から、好き、だった」
一度零れてしまったら
もう、後には引き返せない。
一生、伝えるつもりなんてなかった
一生幼馴染みでいれればよかった
なのに、
…なのに。
「さっき、…聞いてしまって。
……大毅、が、愛美ちゃんに、
………脅されてた、こと」
びくっと、隣で震えた大毅の肩に
無性に、抱きつきたくなった。
…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 839人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
