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肌(!) ページ20

*橙 のふたり *藍染 のつづき
_







食事を済ませて帰宅した皓太くんが、可愛らしく甘えてきたのは数十分前の話。薄暗い部屋の中、私の上にいる彼は、かわいい、なんてものを、どこかへ置いてきてしまったようだ。

塞がれる唇は、触れるだけでは終わらなくて、深く深く苦しいくらい。いつまで経っても慣れないそれを、皓太くんが上手に転がす。だから、すぐにふわふわして、何も考えられなくなってしまう。

真剣な表情、だけど、目が合うと優しく微笑んでくれる。かわえ、とか、すきや、とか。そんなどろどろに溶けてしまいそうな甘い言葉なんて、普段は言わない癖に、こういうときは惜しみもなく囁くから。瞳を強く瞑って、言葉の快楽に耐えようとするも、背筋はぞくっと凍った。

私が甘やかす言葉に弱って、彼はよく知ってる。だから、楽しそうに繰り返すんだ。



「ぃや、それ…っ」

「ん?…どれ?」

「……っ」

「言うてくれな分からへん」



いじわるだ。それなのに、表情や動作は、宝物を扱うように優しい。思わす目尻に涙を溜めてしまうと、皓太くんがそれを拭った。彼の顬に、薄く汗が滲む。暑い、と小さく呟いて、Tシャツを脱ぐこの仕草に、どきっとしてしまう。初めてではないのに、いつまで経ってもやっぱり慣れない。

私の服は、とっくに脱がされてしまった。肌と肌が触れる。私とは全然違う、皓太くんの体。いつも見守ってくれる、大きなひと。こういうときは、年下だなんて分からなくなる。



「あ…っ」

「…ここ?」

「や、だめ…」

「やめる…?」



ほら、また。いじわるばかり言う。思わず皓太くんを見つめてしまうと、彼は困ったように微笑んだ。いじわるしすぎた、と頭を撫でて、指が、唇が、器用に動く。翻弄、される。

声を抑えたいのに、溢れてしまう。今までこんなことなかったのに、どうして。両手で口を抑えると、その上に柔らかい唇が降った。



「キス、できひんやんか」

「…っだ、って」

「…したい、」

「…っ」

「お願い、葵さん」



声抑えないで、そう呟く瞳は、私のことがすきだと言う眼差しだった。それに耐えられなくて、恐る恐る手を離すと、すぐに塞がれて、踊らされる。



「ん、んん…っふ…」

「…は、」

「こ、たく……っ」

「ずっと隣おってね、」

「…っぅん、うん」

「ほんま…?」

「ほ、んと……っあ、」



嬉しそうに笑った皓太くんの、強い動きに惑わされて、そのまま何も言えなくなった。





_fin

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aoi(プロフ) - Ey3467さん» はじめまして*こちらこそありがとうございます!とても励みになります^^ (2021年6月1日 12時) (レス) id: 4b9a3afcbe (このIDを非表示/違反報告)
Ey3467(プロフ) - はじめまして!aoiさんのお話ほんとに大好きなので更新していただけてほんとに嬉しいです! (2021年5月31日 12時) (レス) id: 8bada13383 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - よせさん» コメントありがたいです、うれしいです! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - り子さん» うれしいお言葉ありがとうございます*(頂いたコメントですみません、り子さまのおはなし、私もだいすきです…!) (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みやさん» ありがとうございます、嬉しいです* (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年4月2日 23時

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