２７ ページ27
・
1時間ほどでご飯屋を後にした俺たちは、ちょっと緊張感を漂わせてホテルに戻った。
付き合って初めてホテルに泊まるってのは、なんかやっぱりそういう事をして良いのかって期待がある。
だから「ねえ、今日はいい？」なんて聞いちゃったわけだけど、肝心なとこで俺は失敗した。
めっちゃ疲れていたせいもあるしお酒も呑んじゃったから、ベットに寝転んで待つんじゃなかったって翌朝後悔の嵐だわ。
舞台に変更点があるからって、わざわざ迎えに来てくれたふっかに愚痴る俺。
「あはは、やったねお前。彼女より先に寝るなよ」
「…せめて抱き締めて寝たかった」
「明日は休みだし、ごゆっくりどうぞ〜」
ほんとに今日こそは！なんて、どんなけ飢えてんだよ俺は。
.
今日の公演も無事に終わり、Aちゃんが待つ場所へと向かうと、あまりの寒さに雪でも降るんじゃないかって。
予報では雪マークあったけど。
Aちゃんを遠目に見つける。
寒いのか白い息を両手に吹き掛けていて、慌てて駆け寄った。
｢うわ〜、鼻真っ赤になってんじゃん！ 寒かったよね｣
｢大丈夫！大丈夫！ それより大ちゃん今日もお疲れさま！！｣
結構待たせちゃったし、暖まるために店に入るかって聞いたけどAちゃんからホテルに戻りたいって。
タクシーを拾って、冷えきった手を握ってあげている間もいつになくお喋りで、ほんのり赤く染まってる頬とか揺らぐ視線とか、なんとなくだけど俺を意識してくれてるんじゃないかって思って嬉しくなった。
これは期待してもいいのかなって。
ホテルに着いて部屋に入ると二つあるベットに一人ずつ腰掛けて、コートすら脱がずに俯いているAちゃんに声をかけた。
「緊張してる？」
するとゆっくりとこっちを見てくれた。
｢それって俺のこと意識してくれてるってことだよね？｣
｢……するよ、普通は｣
立ち上がるとギシッとベットが軋む。
やけにその音が響いた。
｢そっか、意識してくれんだね｣
冷えきったサラサラの髪を撫でると、照れてふいっとそっぽ向かれて、でもそれが可愛くて堪らない。
「可愛い」
頬を両手で包んで上を向かせれば、少し潤んだ瞳が俺を見つめる。
｢キス、していい？｣
｢……うん｣
ぷっくりとした赤い唇が俺を誘うから。
もう我慢なんてできねぇよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2000人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - 詩乃さん» ありがとうございます！駅のシーン予想当たりましたか？やっぱり好きな人と別れるのは名残惜しいので彼は待たない事を選びました。4章でも切なさ続くかもしれませんが、よろしくお願いします(^^) (2020年8月20日 9時) (
レス) id: 7487347ac7 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - まのかさん» ありがとうございます！やっと彼sideも終えて本編に戻れますので、4章もよろしくお願いします(^^) (2020年8月20日 9時) (レス) id: 7487347ac7 (このIDを非表示/違反報告)
詩乃(プロフ) - またまたのめり込んで拝読しました！あぁ〜、やっぱり駅でお別れしてすぐ帰っちゃったのはそういうことだったのね！（ ; ; ）と私の中で大ちゃんへの共感の嵐が止まりませんでした。切ない…でもキュンとします。引き続き応援しています！！ (2020年8月20日 2時) (レス) id: e6f055e37f (このIDを非表示/違反報告)
まのか(プロフ) - 大ちゃんｓｉｄｅ完結おめでとうございます ＆ ありがとうございます！ どっちも読めて本当にうれしいｗｗｗ 4章も楽しみにしてます＾＾ (2020年8月19日 20時) (レス) id: 496b8676bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年8月8日 9時
