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私は束縛の酷い彼と別れたくて仕方がなくて、失ってしまった自由を堪らなく恋しく思っていたはずで、言ってしまえばガッくんから離れて暮らす事だけを考えていたはずなのに、あれ?なんで私は彼に縋っているのだろう。なんであの時膨大な間違いを犯してしまったような気分になったのだろう。なんで、なんで、なんで。
脳内が大量のクエスチョンマークで支配され、それに伴って情報処理能力が大きく欠けていく。
思考を整理する力すら失ってしまった頭の中の重りを僅かに手前に傾けて、私は再び小さく口を開いた。別れたいって言わなきゃ。別れたいって言わなきゃ。別れたいって言わなきゃ。だってそうじゃなきゃ、私は、
『ねぇ、ガッく』
「あ、飯冷めてる!」
自分でも、蚊の羽音より小さな声だったとは思う。
でも、私の勇気に溢れた一声は彼の発見によって遮られて塞がれてしまった。
『...ぇ』
「ごめんなA!ちょっと飯あっため直してくる」
茫然とする私に言い残して彼はにこやかに立ち上がる。
待って、まって、いかない、で。
今更ながら伸ばした右手は、当然キッチンへ向かったガッくんに届く事はなくて。
無様に伸ばした右手は今の今まで強い力で握り続けていたせいかじんじんと痛い。
『っ』
遠くから彼の鼻歌が聞こえる。
喉の奥につっかえてしまった『違う』の一言は、そのまま外界に怯えて胃酸の底に逆戻りしてしまった。
彼に知られないよう、私は小さく溜息を吐く。
わたしは彼の事が好きだけど、同時に私は彼の与える今のような
だけどわたしはその時間までもを肯定するかのように、自らの
... もうきっと、逃げることは叶わないのだろうな。
馬鹿な自分にまた息を吐くと、何処かから嘲笑が聞こえた気がした。
わたしのかちね!
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皆様こんにちは。みそ漬けキュウリで殴るです。
この度は素敵な参加者様方ばかりで非常に感激しておりました。一応企画主ということで大トリを飾らさせて頂きましたが、皆様この企画どうでしたでしょうか?
少しでも楽しんで頂けましたら幸いでございます。
さて、今回私が執筆しましたこのお話、毎度の如く考察要素がございます。ヒントは作品の至る所に散りばめたつもりですので、是非とも考えてみてくださいね!
それでは皆様、またどこかで。
A様に神の御加護があらんことを。
みそ漬けキュウリで殴る
終わり←・
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作者名:みそ漬けキュウリで殴る x他6人 | 作成日時:2021年11月16日 17時