虹色のパレット (ページ13)

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日が短いこの季節

外はもう太陽は見えなくて、茜色だけがほんのりと照らし、段々と暗くなり始めていた

「本当。お前が泣いてるとこ見たくねぇんだよ。中学の時のあの日からずっと。」

「どっちにしろお前が泣くと思ったからねぇ、告白なんてしたくなかったんだが。俺はあいつとはちげぇし」

「他の男に取られたら嫌だって思ったんでねぇ。誰かさんは全然信じてくれねぇけど。こっちは何年片想い続けてると思ってんだっつうの」

意外な言葉に流れ続けていた涙が止まる

そんなこと思ってくれてたなんて知らなかった。知るはずもなかった

あの日、先輩が助けてくれた日

そういえばあの日もこんな夕焼けだったっけ

「俺が知らないとこで傷つくな」

「付き合わなくてもいい、、けど、せめてそばにいさせろよ」

私を見つめる赤は揺れることなく前を向いていた

「どーせ俺の事好きなんだろ？知ってんだよ。周りの目なんて気にしなくていいから、堂々と俺の隣歩け」

「好きだから。お前のこと。ちゃんと好きだから」

─────だから不安にならなくていい

葛葉先輩がそんなこと言ってくれると思ってなくて、普段の姿からは想像できないくらい頼もしくて

やっぱり大好きで

堤防が決壊したかのように止めたはずの涙が溢れてくる

すっかり暗くなった空は昇降口に蛍光灯をつけさせた

さっきの茜色とは違った淡い蛍光色の明かりが

2人の間を照らす

「はぁ、お前どんだけ泣くんだよ。それで、返事は？」

さっきのため息とは違う、呆れているけど少し甘い

返事なんて、分かってる癖に聞く先輩はとてもずるい

「好き。先輩が好きです」

「ん。知ってる」

柔らかく微笑む先輩は多分、私と叶先輩しか見られない

叶先輩でさえ知らない顔を見つけることができる日は案外遠くないのかもしれない

蛍光色に背を向け

先を行く葛葉先輩の隣を歩く

暗闇に溶ける私の後ろ姿はそれに負けないくらい

彼の色で輝けているのだろうか

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はじめましての方が多いと思います。
普段不穏な小説ばかり書いているのですが、今回甘々に挑戦しました。
素敵な企画に参加させていただけたこととても嬉しいです。主催のみそ漬けキュウリで殴る様、ありがとうございます！

この物語のkzhさんが吸血鬼なのか、人間なのかは読者の皆さんにお任せします。

読んでいただきありがとうございました。

めろんぱん