【人形詩篇*】ー君ニ告グー

第2話【小鳥遊花音】 ページ3

*


とある日の早朝、調理室から甘い匂いが漂う。

原因は私、小鳥遊花音が
お菓子を作っているから。



「花音、出来はどうですか？」


私の神通人形の睡蓮こと、
すいがそう問いかけてくる。


お菓子作りにはすいも協力してくれたおかげで
予定より早く作業が進んだ。


本当にいい子を持ったなー。


「上出来だよー!
あ、ラッピング用の袋取ってくれる？」


「はーい、どうぞ」


すいにお礼を言って袋を受け取る。


完成したものを壊れない様に
丁寧に袋に入れていく。



すいは何も言わず、お菓子が入った袋を
リボンで結んでくれる。

世界中がこんないい子に溢れてたら良いのに…
って、まあ無理か…(笑)



そこから数分、ようやく作業は終わった。


「すいお疲れー!
はい、これはすいの分」


そう言ってお菓子を一つ渡す。


「わざわざすみません…。いただきます!」


すいがお菓子を食べてる間に荷物をまとめて
時刻を確認する。

もうすぐ予鈴がなりそうだな…。


いつもより早く起きれたから作りに来てみたけど時間経つの早いなー。

あ、すいが食べ終わったみたい。


「よし、じゃあ行こっか!」

すいを抱き上げて調理室の扉を開ける。


勢いで作ったはいいけど、

「皆喜んでくれるかなー…」



「大丈夫ですよ!花音の作ったお菓子、
特にクッキーは特別美味しいですから」


「そっか…そうだね!
渡す側が自信持たなきゃ」



そんな会話をしながら教室に足を向けた。



【恋音-rein-】

第３話【一ノ瀬水亜】→←第1話【茅ヶ崎夏樹】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す