予想外ー山谷祥生 ページ4
「ねーA、これあっちもってって」
「わかった」
同い年の山谷君とイベントの準備。
急病でこられなくなったスタッフの代理として私が来た。
もともと山谷君とは知り合いだったこともあって、色々助けてくれるおかげで、特に困ることもなく仕事をこなすことができている。
「お疲れ様、A」
「お疲れ様です。仕事してる山谷君をこんなに近くで見ることになると思ってなかった」
「まあねー。今まで奇跡的に現場被らなかったもんね」
「職種的にはあり得ない話ではないはずなんだけどね」
「はは、Aに同現場NGだされてると思ってたわー」
「あ、ばれてた?」
「あそういうこと言っちゃう〜?」
イベントが終わって私が片付けているところへ山谷君が来てくれた。
「Aこの後暇?」
「もともと休みの予定だったし特になにもないよ」
「じゃあまた飲みにいく?」
「あれ、打ち上げとかあるんじゃないの?」
「中途半端にしか集まらなそうだから後日やるって」
「そっか、じゃあ久しぶりにいきたい!」
「おっけー。どうする、他にも声かける?」
「あー、そだね、そうしよっか」
「はーい」
そういって山谷君がいつも飲みに行くメンバーへメッセージを送り始める。
「ま、俺は二人でもいいんだけどねー」
スマホを操作しながら軽く言う。
いやいやなにそれわざわざそんなこと言って。
無駄にドキッとしてしまった自分に後悔しつつ返信を待つ。
「ん〜、仕事でめっちゃ遅くなりそうって」
「あ〜そっか、どうしよっか?」
「今日は二人で行っちゃおっか」
「う、うん、おっけ」
さっきの一言もあってかちょっと意識してしまう。
山谷君のことだ、きっと何も考えてないとはわかってるんだけど。
よく行く居酒屋のいつもの個室に通され、とりあえず、とビールを注文する。
「今日はお疲れ、急だったのにありがとう」
「山谷君こそ。お疲れ様」
「いや〜、同業者以外の友人に仕事見られるのって恥ずかしいね」
「恥ずかしかったんだ?」
「なんかちょっとね」
運ばれてくるご飯もつまみつつ今日のイベントの話をする。
今までこういうことがなかったからなんだか新鮮で楽しい。
二人っていう状況も、そういえばあまりなかった気がする。
恥ずかしいような嬉しいような。これってデートみたい、なんてさっきのイベントに来る人たちのことを考えると口には出せなかった。
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作者名:おーかみお | 作成日時:2020年1月19日 18時