*第82話*雪の中の落とし物 ページ34
あたりには雪がちらつき始めていた。
−では年明けに会いましょう!−
そしてとうとう冬休みになった。
でも私はそんな冬休み中、ずっと家のなかにこもっていた。
いつもならはしゃいでるクリスマスも
全然楽しくなかった。
あいつなんか忘れて、冬休み楽しもうよ…って
でもあいつに彼女いたくらいで諦めるの?って
心のなかで2つの私が
言い争っている。
「こらA。冬休みだからってだらだらしないの!ちょっと運動でもしてきなさい」
お母さんに言われて仕方なく外に出れば…
『うわっ』
冷たい風が私を襲った。
『こんな日に運動なんかっ』
でもなんだか家に戻る気も失せて、私は近所を歩いた。
何の用もなく、ただただゆっくり歩いていたそのとき。
道の少し向こうに、しゃがんで何かを探している男の人の姿が目に入った。
あれ、よく見たら…
『え、増田くん』
私が声をかけると、増田くんはちょっと目を見開いて。
「あ…久しぶり」
『…どしたの?探し物…?』
「ああ、俺、ケータイ落としちゃって…」
『え、ケータイ!?』
ケータイ落としてよくそんな冷静で…
「ねーちゃんに買い物たのまれててさ。その途中であれって(笑)」
増田くんっておねえちゃんいたんだ。
ってそんな場合じゃない。
『ここに落としたの?…大丈夫かな、』
「こう見えてバカでしょ俺」
『うん、あ、いや、バカじゃ…』
「はは。…でもここでなくなったんだよなぁ」
『探そ!』
そういって二人で探し続けること数十分。
『あああっ!これ、これじゃない!?』
「うおっ!マジだ!やった!」
『よかったー』
「ありがと」
『んーん』
増田くんは大事そうにケータイをポケットにしまった。
「…あ、今からどっか行く予定ある?」
『え、ううん、ないけど…』
「じゃ…お礼じゃないけど、どっかで休憩しない?」
『…でも私、お財布持ってきてないよ…』
「そんなのいいって。俺持ってるから」
『…いいの?』
「うん…ケータイ見つかったし?」
ということで。
私たちは近くのカフェで体を休めることにした。
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きぃてご(プロフ) - ラッキーガールさん» ほんまですか!(笑)本当にありがとうございます!更新頑張ります! (2018年5月2日 19時) (レス) id: 1b3933b67a (このIDを非表示/違反報告)
ラッキーガール(プロフ) - ほんまにこの小説大好きです!!!更新ずっと待ってますww (2018年5月2日 16時) (レス) id: cad5106df9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きぃてご | 作成日時:2018年4月15日 22時