*第73話*君の本気 ページ25
大きく差をつけた1位と2位付近のアンカーがすっとスピードを緩めたのだ。
そして、振り返って手越くんを見るなり、目配せをしながら嘲笑った。
私は胸が痛くなって、思わず下を向いた。
「くそ!っざけんな!」
でも、グランドに響いた手越くんの声で、私はまた顔を上げた。
手越くんは悔しそうに顔を歪めている。
その瞬間、スピードを一気に上げて走り出した。
捻挫なんて気にもしないほどに。
今まで手越くんのことを嘲笑っていた最低男たちは、驚いてあわてて走り出すけど、そんなのもう遅い。
手越くんにぐいぐい差を縮められていく。
『手越くんがんばれーっ!』
私は声を張り上げた。
それにつられて他のクラスメイトも声をあげる。
「手越がんばれー!」
「いけいけいけ!」
『そんなクズに負けないで!』
私の声は届いたのだろうか。
手越くんと最低男は、ほぼ同時にゴールした。
その差は…
0.01秒で、
手越くんが速かった。
そのときのクラスのはち切れるほどの歓声はもう忘れることはない。
私は言葉にならない喜びを噛み締めた。
そんなばか騒ぎするクラスメイトの中に、一人だけ静かに笑っている人がいた。
増田くんだ。
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きぃてご(プロフ) - ラッキーガールさん» ほんまですか!(笑)本当にありがとうございます!更新頑張ります! (2018年5月2日 19時) (レス) id: 1b3933b67a (このIDを非表示/違反報告)
ラッキーガール(プロフ) - ほんまにこの小説大好きです!!!更新ずっと待ってますww (2018年5月2日 16時) (レス) id: cad5106df9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きぃてご | 作成日時:2018年4月15日 22時