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分からないのも仕方ないか。

 翔ちゃんは私と出会う日まで、ほとんど学校に行ってない私のことなんて知らなかったのだから。



「……私ね、翔ちゃんと会うまで全然学校行ってなかったの」

「え"!……あー、でもたしかに、俺三年生でAのこと初めて見たかもしれない」

「でしょ?それまで私、ずっと色んな高校のバレーを見て回ってたの」



 中学一年生の本当に入学してまもなく、ずっと行きたいと思っていた白鳥沢の新入部員の実力確認テストみたいなものを見学に行ったのがはじまりで、

 小学校までみたいに誰とでも仲良くなれると信じていたが、

 小さい頃からバレーだけを見て育った私は、韓国のアイドルとかそういう話はさっぱりで、話についていけなくなったのだ。


 なんとかついていこうと努力はしたものの、今まであまり見たことのない遠い学校の練習を見学するのはとても新鮮で、

 私はいつしか バレーがあればそれでいいと、そう考えるようになっていた。



「でも親に迷惑はかけたくなくて少しは学校に行こうって思って、

 勇気出して行ったその日に、翔ちゃんと会ったの。

 翔ちゃんが私の友達になってくれて、学校が楽しくなって今もこうやってマネージャーしてる。だから " 助けてくれた " って、そういうこと」



 本人にこう直接伝えるのは少し恥ずかしい。

 

「うーん、でも俺がやったのは友達になったってだけだよな?!」

「そ、そうだけど。
それだけでも嬉しかったの!だからしてもらってばっかりとかそんなこと絶対ないから!」



 これだけは譲らないぞという心構えで言う。

 

「それで……」


 
 それで。

 言葉がそこで止まる。


 明日は大事な青葉城西戦。

 今言うべきでないことは分かっている。私の中で割り切って、今は忘れるべきことだと。


 けれど心配そうに顔を覗き込んでくる翔ちゃんに自然と口が動いていた。



「……今度ね、引っ越すの」

「……………………ハッ??!?!エッ、エ"?!ひっ、引っ越すって、どこに??!」

「兵庫」

「ヒョウゴォオオ?!!……って、どこだ?」



 首を捻る翔ちゃんに「大阪のちかく、下の方だよ」と丁寧に教えてあげると、

 その表情はみるみる驚愕に染まっていく。



「えっ、なん……うぇえええ!!!
Aおれのこと嫌いになったのか?!嫌なところ直すからあああ」

「ち、ちがう、ちがう!!」



 →

翔→←日



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(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます、!がんばります!! (2020年5月10日 1時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - きさん» これからも頑張ってください! (2020年5月9日 21時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 愛さん» わ、ほんとですか!むちゃくちゃ嬉しいです!! どうでしょうか!笑 私にもわかりません… (2020年5月9日 21時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いつも楽しみにしてます!!!あの、予想ですけど....もしかして稲荷崎のマネになるんですか? (2020年5月9日 19時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 鏡さん» そう言っていただけると更新の励みになります…!ありがとうございます!がんばります! (2020年5月7日 22時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きたの | 作成日時:2020年4月5日 10時

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