【緑】自己肯定感が低い彼女＊番外編[1] (ページ26)

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俺は、一体何をしてんねやろ。

そんなことを考える一方で

Aへの気持ちを確かなものにしてしまっている。

俺、

男らしく

諦めたはずやのに

かっこわる。

神ちゃんに借りた鍵を取り出して

ドアを開けると、

殺風景な匂い。

…てか、初めて入るな。

大毅「お邪魔しまーす…。」

13:00。

神山『Aは午前中の授業が終わってそのまま帰ってるはずやから。

多分、寝てる。久しぶりに午前に起きたし』

神ちゃんは、口元に絆創膏を貼ったまま、午後の授業に参加しているらしい。

久しぶりに午前に起きるってどういうこと。

大学生みたいな生活を送っているな。

あ、大学生か。

1Kの少し狭い部屋。

部屋のドアを開けると、

広いベッドで、案の定Aがスウスウとかわいい寝息を立てて寝ていた。

…。

流星に見せてもらったAの寝顔の写真を思い出す。

ここで、二人で寝てるんやな。

てことはここで…。

考えたくもないことには蓋をして。

Aが起きたら、神ちゃんと俺が入れ替わってすむ理由を言わなあかん。

なんて言えばええんや。

それを神ちゃんに聞くの忘れた。

だいたい神ちゃんも考えてなかったって言ってたし

俺が考えて後で帳尻合わせるように神ちゃんにラインしよう。

リビングに入ると、机の置き手紙に気づく。

【神山くん

帰ってきたら起こしてください。

どこにも行かないで】

意味深な最後の文章。

神ちゃんがもしここに帰ってくるとしたら

…起こすのは17:00くらいでええかな。

そう思いながら、俺は最後の文章の意味を考えていた。

でも、考えても考えても

Aの感情を読み取ることはできず

どこにも行かないでって

なんか不安なことがあったんかな。

もしかして

ナツと濱田の現場を見てたとか？

いや、まさか。

結構な路地裏で誰もいないようなところやったし

他の人影なんて見えなかった。

見てるわけない。

そう思いながら、人様の部屋やというのに

ソファで思いっきり寝てしまって

ドアの開いた音がしてふと目を覚ますと

「え、大毅くん…？」

17:30の時計と

びっくりして固まっているAの姿を同時に見た。