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2年前と同じ。





”笑って”




この言葉を聞きたい。




その言葉が俺を強くしたんや。なのに








「…」





なんで言わへんの。






2年前も、言わずに俺から去っていった。









俺は、その言葉を待っているのに。









Aは俺の方を向かずに立ち上がった。






そのまま外に出ようとするAの腕を掴んだ。







「っ…」

Aはびっくりした顔でこっちを向く。


重岡「ここにおってくれへん?


1人になんの嫌や。」






Aは気まずそうに、俺の隣に座った。








重岡「…今日の旅行、ずっと楽しみでさ。




一週間前からワクワクしててん」





「小学生やん」



重岡「ハハ、せやな」







俺は顔がよく見えないAの方を向いて




セミロングの髪の毛を耳にかけた。






その行動にびっくりしたのか、Aがこっちを向く。




その顔があまりにも綺麗で。



俺のものにしたい。



昔からAのことは知っていたけれど。


ずっと自分のものにできずに


俺の勇気と覚悟がなくて、



この関係を崩したくない



そう思っていたけれど。





Aの何にも汚れてない、純粋な透明なその瞳に




心を奪われて




俺は唾を飲んで、10年以上前からの想いを言葉に乗せた。






 







 





 

 









重岡「…好き。」







 




…言えた。やっと言えた。





重岡「俺と付き合ってください」





こうなったら言ったもん勝ちや。





Aの瞳はまっすぐ俺をそらさなかった。







そして、一粒の涙がこぼれた。




あれ、Aってこんなに泣く子やったっけ?









「あかんよ、そんなん私に言うたら」









Aはそう呟いてうつむいた。

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作者名:きい | 作成日時:2021年1月8日 0時

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