＊ ページ33
「いつも周りの目ばっか気にして
私の気持ちを素直に言えなくてごめん」
Aは俺の目を見る。
その目はとても純粋で
俺は思わず抱きしめていた
「ちょ、大毅？」
重岡「好きや
やっぱり、何回もフラれても
どうしても、Aのことだけはずっと好きなままやってん。
A以上に好きになる奴なんて絶対におれへん。
だって」
「…だって？」
俺はAの両肩に自分の手をおいて、Aを見つめた。
重岡「Aがここにおるだけで、ドキドキしてるから」
ほら。
俺はAの手を自分の心臓に当てた。
「…ドクドクする」
Aが笑った。
重岡「それ」
「え？」
俺は、その笑顔がずっと見たかった。
Aと再会してから、ずっと苦しそうな顔をしているAを見るのが辛かった。
それは俺の世間の立ち位置が関係していることかもしれへん。
Aからしたら、俺なんてずっと向こうの人。そう思っているかもしれない。
でも
俺はずっとここにいて、何も変わらん。
Aをずっと好きな気持ちは変わらない。
重岡「Aの応援だけで生きてきたから、俺」
「…応援？」
重岡「笑えよ」
高校生の時言えなかった応援の言葉。
重岡「Aなら、大丈夫。
きっとうまくいく
だって、
俺だってその言葉を信じてここまでこれたから。
Aに再会できたのは
Aの笑えって教えをずっと守ってたからかもしれへん。きっとそうや！」
Aは涙を流していた。
久しぶりに見た、強がりなAの涙。
「私、その言葉が大毅を締め付けてるんやって思ってた…」
重岡「…え？」
「大毅が笑うと、私も元気になるねん。
やから、大毅に笑って欲しくて
大毅が落ち込んでる時とかに言ってた言葉。
でも、根拠ないやん？ジャニーズに入ったらもっと辛いことあるはずやん。
私の言葉でもっと大毅を苦しませたら、悩ませたらどうしようって思ってた」
Aの一つ一つ紡ぎ出すその言葉が愛おしい。
そんなことない。
俺は、ジャニーズで死ぬほど悩んで落ち込んだときだって
Aのその言葉を思い出していたんだから。
それで頑張ってたんやから。
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作者名：きい
| 作成日時：2021年1月8日 0時
