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神ちゃんは快く頷いてくれて



俺はAとの過去の話を全部話した。




俺がジャニーズに入った時、あまり喜んでくれなかったこと。

違う高校に入ってからは疎遠になったこと。

金沢での旅行で告白して一年間付き合ったこと。

そして成人式で別れたこと。





思い出すだけで泣きそうになるのをこらえながら。





全て自分の思い出として話したつもり。







重岡「俺は、Aの言ってくれる言葉で好きなのがあって


"大毅なら大丈夫


きっとうまくいく

だから笑って"



ってその何の根拠もないその言葉だけで


ここまでこれたようなもんやのに






こないだAに会ったら



もうその笑顔がビジネスにしか見えへんって言われたわ。」







俺が笑うと、Aも笑って


お互い笑顔になって

どんなことでも乗り越えていける気がしたあの青春は



いつの間にか美化されていた。








神山「…もう会いに行かんの?」





そう聞く神ちゃん。


重岡「…あいつの前でどんな顔して会ったらええのか




もうわからんわ。」






俺が笑えば

ビジネスにしか見えないって


また、苦々しい顔するんやろ?






神山「俺にはどうしても桜野さんはシゲと同じ気持ちなんやろなって思ってしまうねん」



重岡「…どういうこと」




神山「桜野さんは、シゲのことまだ好きやと思う。

その気持ちをしまいこんでるだけやと思う。






俺は、シゲの悲しい顔したまま仕事して欲しくないねん。

俺らずっと一緒にやってきた仲やん?シンメやからこそわかるよ。




シゲは桜野さんに支えられて生きてきたんやって。」









ゆっくりと紡ぎ出すその言葉が



俺の心臓に響く。









神山「俺が招いた惨事やからこそ



俺にも責任があると思ってる。








会いに行ってくれへんか?」








頼むといった表情で神ちゃんは俺に頭を下げる。







重岡「そんな、頭あげてや」





何で神ちゃんが泣くん。



ほんまにメンバー想いやな。



俺も神ちゃんの涙に誘われてもらい泣きした。






重岡「話聞いてくれてありがとうな」


神山「シゲ…」




俺は、スタッフさんに呼ばれて神ちゃんから去った。




俺は、Aに会う資格なんてない。






仕事をおろそかにしてはいけない。



今お目の前のことに必死にならんと。





しばらくAは忘れよう。









そう思ったのに。

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作者名:きい | 作成日時:2021年1月8日 0時

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