立川 ページ21
喫茶店に駐車場は案の定なくて
近くのコインパーキングに止めて、神ちゃんにもらった住所へと足を進めた。
喫茶Sakurano。
ここか。
”open”
そう書かれているのを確認して、ドアを開けた。
A「いらっしゃい…え。」
俺の大好きな声。
大好きな顔。
変わらないスタイル。
俺とAの空間だけ、８年前と変わらなかった。
重岡「…久しぶり。元気やった？」
俺は、できるだけ笑顔でいるようにした。
「…どうして」
びっくりしているA。
重岡「神ちゃんこないだここにきたんやろ？
教えてもらってん」
「きたけど…。
私、大毅と知り合いなんて一言も」
知り合い？
恋人やろ。
恋人”やった”か。
切ない。
俺が、カウンター席に座ると、
「とりあえず、closedにしといたから」
気を使ってくれたのか、店はもうしめるらしく、鍵もかけてしまっていた。
そして俺にコーヒーを出してくれた。
重岡「ありがと」
「ううん、こちらこそ
わざわざ立川まで来てくれてありがとう。」
重岡「謝りたくて」
「え？」
俺は飲んでたコーヒーをおいた。
子供舌やから、ちょっとだけ苦い。
重岡「成人式のこと。
Aを置いて帰ってごめん」
俺が謝ると、Aはふふっと笑った。
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作者名：きい
| 作成日時：2021年1月8日 0時
