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重岡「俺がさっきどんな思いやったか知ってるんか?
なんで勝手に決めつけるん。
なんなん、ただの幼馴染やでって」
「しゃあないやん!!」
心が穏やかで荒波なんて立てたことのないAが。
喧嘩が大嫌いなAが。
初めて声を荒げた。
重岡「っ…!」
「大毅、自分の立場わかってんの?
ジャニーズやん。
もう、私の知ってる大毅じゃないんよ…。」
”シゲはジャニーズなんやから。”
さっきの女子の言葉。
「ジャニーズがどんだけ厳しい世界なのかは
私には想像で考えることしかできひんけど
ジャニーズの大毅は私と付き合ってたらあかんって
さっきあの子が証明してくれたやん。」
俺は何も言えなかった。
ジャニーズやからAと付き合ったらあかん。
言ってることは理解できるけど
俺がAと付き合ったらあかん理由なんかないやん。
そんな自分もいて。
「…辛いねん」
Aは涙を浮かべていた。
それは決してこぼれないで涙袋に溜まっていく。
Aの強がりなところが出ている。
重岡「…何が」
「大毅を応援しなきゃいけないのはわかってるけど
大毅の笑顔がみんなを幸せにすることが嫌って思ってる自分もおるねん。
大毅が喜ぶとなぜか自分も楽しくなる感覚をみんなが持ち始めている。
自分だけの唯一の独占できることが
みんなも持ち始めてる」
嫉妬してくれて嬉しい反面
俺の”ジャニーズ”という肩書きがこんなにもAを苦しめていたことに気づかなかった
自分もいて。
「大毅の追いかける夢を応援するには
結局、私たちは、別れなあかん。
だから」
______別れる。
その一方的な言葉にフツフツと怒りが湧いてきて。
観覧車は一番下になり、スタッフがドアを開けてくれ
俺は、足を怪我しているAを抱えて一緒に降りなあかんのに
重岡「…俺は、Aのこと”ただの幼馴染”って思ったこと一度もないから。
見損なったわ」
そんな言葉をAに捨てて
スタッフ「ちょ、お客さん…!」
Aを置いてそのままダッシュして
おとんの車なんかに戻るわけもなく
そのまま電車で家まで帰った。
それが、Aと会った最後やった。
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作者名:きい | 作成日時:2021年1月8日 0時