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Aさんがベッドに腰掛ける。
道端で泣き崩れたAさんは、声を掛ける俺を見て嬉しそうに切ない顔をして抱きしめた。
そしてごめんと言ってそのまま涙を流した。
全くと言っていいほどAさんの涙を見たことないから、こんなの初めてで自分の気持ちも爆発しそうになる。
Aさんがどんなことを思っているのか全くわからないからこそ、俺のことを見た瞬間に泣いてくれたのは嬉しかった。
いつの間にか目黒は行ってしまったけれどそれでよかった。
目黒ごめんな。何も言わずにいてくれてありがとう。
そんなことを思いながら俺も隣に腰掛ける。
Aさんは少し酒臭かった。自分も酒臭いだろうからお互い様だ。
「会いたかった
会いたかったよ北斗くん...」
今まで出さなかった感情をここで一気に出したかのようにAさんは収まらない気持ちを全て言葉にした。
そして涙も無限に出てくるし、俺の手を優しく揉んでくれる。
自分からしてくれることなんてないから戸惑うし、自分の決意が揺らぎそうになる。
落ち着かせるために、Aさんを優しく抱きしめた。
「俺も会いたかった。ちゃんと話がしたかった。」
ごめんねと言うと、北斗くんが謝る理由なんてどこにもないと言った。
この一週間、Aさんに会わずに家に引きこもる生活が続いた。
時々樹が来て授業のノートをコピーしてくれたり、俺の家のゴミ分別してくれたりと世話してくれたけど
流石にAさんに会って話をしろと尻を叩かれた。
Aさんに会う覚悟ができた時は、自分の気持ちに整理をつけた時だ。
「Aさん」
俺はAさんの頭を撫でた。
そして少し体を離してAさんの目を見つめる。
「京本先輩と深澤先輩のこと、教えて？」
そう言うと、Aさんも覚悟ができたようで
頷いて
瞼をゆっくりと閉じた。
深呼吸して、Aさんは俺がアルバイトを始める前の京本先輩と深澤先輩の話をし始めた。
Aさんがこの話をするとき、俺はずっとAさんの手を握っていた。
辛くて苦しい思いを打ち明けるんだから
少しでもそれで和らいで欲しいと言う思いからだった。
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オニオン(プロフ) - 完結おめでとうございます！きいさんの作品はどれも本当に素敵で苦しくなったり楽しくなったり、とまるで現実に本当に起こっているのではないか？と思うくらいリアリティなのですが、今回のは特に現実味を帯びているアンビバレントな感情になる作品でした。ポチ (2022年3月1日 19時) (
レス) @page18 id: 4300abda91 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわ - ここまで物語に引き込まれたお話は、初めてでした。なので、初めてコメントさせていただきます！胸が苦しくなる時もありましたが、3人が良い方向に進めたので本当によかったです。もしよければ、本編では素直じゃなかった2人のラブラブなところを見てみたいです！！ (2022年2月27日 22時) (レス) @page18 id: ac3f4acf0e (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 完結おめでとうございます！言葉選び、心理描写どれも凄く好みで大好きです！♡可能でありましたら、アフターストーリー読みたいです☺︎ (2022年2月27日 4時) (レス) @page18 id: d901e94fa4 (このIDを非表示/違反報告)
きい(プロフ) - えみりーたさん» コメントありがとうございます！そのようなことを言っていただけて光栄です！[3]もよろしくお願いします。 (2022年2月23日 0時) (レス) id: 2c48d15d8e (このIDを非表示/違反報告)
えみりーた(プロフ) - とっても面白くて、一気にここまで読みました！更新楽しみにしてます！ (2022年2月22日 17時) (レス) id: d4d342cc13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きい
| 作成日時：2022年2月21日 23時
