4[T.K] ページ4
モヤモヤした心。ドアの音がして振り向くと
「あれ？神山くん、どうしたん。」
「あ、菊池。」
菊池かなこがおった。
「あの…さ。Aって今日どんな感じやった？」
「あー。」
菊池は何か知っている様子やった。
「まあ、神山くんには言うなってAに言われてん。そのうちわかると思うで。」
「え、菊池は知ってるんよな？」
「まあね。」
「俺には教えてくれへん？」
「……あの子、補聴器つけてんねんで。知ってた？」
「え……？いつから？」
菊池は、俺に目を合わせず微妙な顔しながら続けた。
「１ヶ月前。病院行ったら中途失聴っていう類やって。
それでみんなにバレへんように髪の毛結ばずに補聴器しててん。」
１ヶ月前…やと？昨日まであんなに楽しそうに喋っていたA。
全然気づかん俺。
「それで、１週間前くらいかな。体育の授業の時に先生に怒られてん。
髪の毛結べって、みんなの前で。Aが頑なに拒否して。
それで先生が怒って授業中断。
みんなもなんでアイツ髪の毛結ばへんねんってイライラしちゃって。
Aは涙しながら髪の毛を結んだんよ。
そしたら先生がなんやこれって言って、補聴器を投げ飛ばしてん。」
「え…。」
「イヤホンやと思ったんやろな。それで職員室に呼ばれたんや。」
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作者名：きい
| 作成日時：2021年10月17日 19時
