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「誰に聞いたの?
気になったきっかけは?楓?」
「…………まあ。
誰にも言うなって言われたけど。」
「楓も楓なりに思ってることがあるわけだ。
もう10歳だしね。」
「…楓は、ママとパパが自分を産む産まないで喧嘩して、
それでママとこの島に逃げて来たって言ってました。
でも、Aさんはそもそも楓とは親子やないんですよね。」
「そう。親子じゃないね。」
「…………。」
サヤカさんは俺の上の麦わら帽子を自分の頭に被せた。
暑いと言いながらどこから取り出して来たのか、俺にうちわをくれる。
自分もうちわで仰いでいる。
「この家に最初に来たのはA。
Aが来た1ヶ月後に、私がいつも通りここで釣りをしようと海に出たらね、
小さい女の子が砂浜で座って遊んでたの。
お名前は?って聞いたら楓。
何歳?って聞いたら4歳。
楓が持っていたリュックにご丁寧に手紙が添えられていて。
“楓を見つけてくれてありがとうございます。
育児をしている余裕がないのであなたに預けます。”
それだけ。ひどくない?
警察に届けたんだけど、警察も身元が分からないと言って困っていてさ。
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作者名:きい | 作成日時:2021年8月29日 23時