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着いた先は畑ではなく、海やった。

ここに来れば会えるんかなと思って行けば、思った通りやった。


顎紐をしっかりつけた麦わら帽子で日除けしながら竿の様子を見守っている。


砂の足音で気づいたのか、俺の方を向いたサヤカさん。

海風が強い。



サヤカさんの隣で腰を下ろすと、


サヤカさんは顎紐を緩めて俺に麦わら帽子を差し出した。




「え…?」


「のんすけ、日焼けしちゃうよ?


ここ、湿度はそうでもない代わりに紫外線は本土よりも強いから。

頭焼ける。」




「でも、そしたらサヤカさんが…。」

「大丈夫だよ、私は。ずっとここで暮らしてるしわかってるから。」


「…じゃあ、お言葉に甘えて。


あの、朝ご飯ありがとうございました。」



「いいえ。明日からはテキトーでいいからのんすけが作ってね。

冷蔵庫はテキトーに使って。」


「あっはい。」



麦わら帽子を被ったけれど、麦わら帽子は少し小さく、地味にきつかったので、


顎紐で抑えるだけにした。









「それで?Aのこと気になって来たの?」


「あ………。」


「バレバレ。ふふ、何が気になるの?」







サヤカさんも俺の隣に腰掛けた。



しばらく竿が動くまでは暇になる。


この海を越えたら、本土か…。水平線が美しい。

そして本土から来たらしい船が米粒くらいの大きさで見えた。


「…色々と。」

「まあ、あの子たちは色々と問題抱えてここにいるからね。」

「………一番気になるのは、楓とAさんの関係、ですかね…。」

「ああ。うん。」

「他にも気になることはたくさんあるけれど。」

「うんうん。」

「それは別に俺が知る必要もないし…。



まあ、楓とAさんの関係も俺が知る必要はないんですけど。」




「そうだね。でも、まあ。



ここに一緒に住むわけだし、のんすけだけ知らないのもなんだか気になるよね。」






「…はい。」

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作者名:きい | 作成日時:2021年8月29日 23時

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