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「………俺はママに歓迎されてへんのかな。」
「かんげい?」
「嫌われてるんかなと思って。」
「どうしてそうおもうの?」
「うーん、なんとなく。」
「ママね、おふろのなかで言ってたよ。」
「なにを?」
「のんすけのこと」
「…なんて?」
「ママのはじめてのともだちに、なれたらいいなって。」
「…………。」
はじめての、、ともだち。
どうしてそんな切ないことを言うんやろ。
友達ができないようには見えへん。
楓は本を閉じた。
「だから、きらわれてないよ。」
「…そうかな。」
「うたがうんなら、ママの畑のお手伝い行ってよ。」
「楓も手伝いに行こうや」
「これ読書感想文のためによんでるから。ひまじゃない。」
そう言って見せたのは壷井栄の二十四の瞳やった。
そんな難しい本。小4が読むんか。
「1人で大丈夫?」
「いつも1人だし。
のんすけだって10歳の時そんなにしんぱいされなかったでしょ。」
「俺はされたよ。
末っ子やし、お姉ちゃんと7歳くらい離れてるから」
「うわ、あまえんぼうのあまちゃんだ。」
「うるさい」
「あまおう、あまおう」
「それはイチゴの種類」
「おとこのくせに」
「おんなのくせに」
やいやい言いながら俺は大人しく待っててなと言って外に出た。
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作者名:きい | 作成日時:2021年8月29日 23時