[1]小瀧望、無期限の芸能活動休止します (ページ25)

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「でも楓、ママ好きだから。」

「…………」

「ホントのことをきけずにいるんだ。がまんしてる。」

「…そうなんや。」

「ママも、ほんとのことを言えないんだとおもう。」

「…………言えないって？」

「言ったら楓がどんなきもちになるのか考えたら、こわいんだよきっと。

だから言えない。わたしも聞かない。」

「…………」

「のんすけ」

「……………ん？」

「がまんって、いつまでできるとおもう？」

「……………」

俺は我慢ができなくて、休職という道を選んだ。

この子からしたら、我慢はしなくていいという教訓の見本のように見えてしまう可能性がある。

俺は我慢ができず、メンバーに甘えてしまった結果こうなってしまったんやと

今更ながらこの道の可否判断ができなくなっている。

「……のんすけ、だまるのはやめてよ。」

「…宿題。はよ終わらせて遊ぼ」

「…はーい。」

結局俺は現実逃避をしていただけなのか？

今までの苦しくもがきながらも上へ上へと目指していたあの時の俺はもうどこにもおらん。

こうしている間にもみんなと俺との距離はどんどん開いていく。

普通の生活がしたいって思っていたのもいっときの感情であって、

実際は、現実逃避をしていただけや。

俺を楓の手本にするのは間違っている。

宿題もようやく終わり、楓が本を読み始めた。

遊ぶのはあまり好きではなく、読書が趣味らしい。

そう言われたらしょうがない。俺は寝るか。

そう思って楓の隣で横になってた。

暇やなあ。島の暮らしって、ホンマに時間の流れが遅い感覚。