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重岡「満更でもない感じ？」
「まさか。
大毅のことをハートの目で見てた人たちの方がフレッシュで可愛いじゃん。大毅もそう思うでしょ？」
部活の様子をちょっとだけ見た帰り道。
あんなに大毅を歓迎して騒いでいた女子や男子も、部活が始まるとスイッチを切り替えてロッケンロールになる。
ロックさは大毅と互角。
そういえば、大毅のバンドを学祭で見に行った時は本当にかっこいいねって小瀧くんと話したのを思い出した。
重岡「まあ、フレッシュなのは年齢もあるし否定できひんな。」
「ひど」
重岡「自分で言ったんやん。」
「自分で言う分にはいいでしょ。」
重岡「ハハ。…だけどさ。」
ふぅー、と、息を吐いて大毅は上を見上げる。
夏の夜空は星が綺麗に見える。
でも東京の星はちょっと物足りない。
重岡「可愛いかどうかは、俺が決めること。」
「…。」
重岡「俺が可愛いと思うのは、Aだけ。
最初で最後。
ほんまにAだけやで。」
そう言って大毅は私の前に立って、歩こうとする私の歩みを止める。
重岡「…一生そばにいたいと思う奴。
何があっても、俺はAと一緒にいたい。」
「…そんなふうに思ってくれるのは大毅だけだよ。」
重岡「ちゃうねんなー。」
そう言って大毅は私を抱きしめる。
急なことで体が余計に熱くなる。
真夏の夜。
蒸し暑さに、風が通りかかって少し肌寒い、
そんなぬるい空気。
重岡「なんか俺が上の立場みたいなん、めっちゃ嫌。
頼られる男でありたいけど、対等な立場がええ。」
男らしさにまた、キュンと。
そして私のことを同じ目線で見てくれるその言葉に乾杯したい。
「…ごめん。」
重岡「…よりも？」
「ありがとう。」
重岡「ありがとう。」
いつからかの、私たちの合言葉。
ごめんよりも、ありがとうの数が多い方がええ。
だから、どっちかがごめんって言ったら、
もう一人がよりも？って問いかける。
ありがとうのあとは、相手もありがとう。
ごめんが１回。ありがとうが２回。
私と大毅はごめんの愛と、その倍以上のありがとうの愛で溢れている。
大毅のことをキュッと抱きしめた。
顔を見つめると、「キスしたなるからやめてや」と、大毅の大きい右手で私の目を覆う。
大毅の顔が赤いのがちょっとだけ見えて可愛いなって思っちゃう。
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作者名：きい
| 作成日時：2021年8月1日 20時
