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重岡「そっちの会社は何人ぐらい内々定者おったん？」
ふと大毅から今日の話をされる。
「あー。総合職は50人くらいいたかな。
私みたいな一般職は30人くらい？
特定職はもっと少なかった気がする。」
重岡「へぇ。」
「そっちは？こないだ懇親会あったんだよね？」
重岡「そやな、俺んとこもそんなもんかな。
そうそう、そんときは気づかんかったけどさ。」
急に思い出したように大毅がスマホを触り始めて、私にそれを見せた。
「…えっ藤井？」
重岡「そう！流星が同じ会社やってん！」
「えぇー、そうなんだ、それは偶然。」
嬉しそうに話す大毅。
流星は私たちと同じ小学校の同級生。
区域が違ったから中学は同じではなくなってしまった。
あの時はスマホもまだ普及していなかったから、小学生の連絡先なんて全然持ってない。
重岡「あいつ、東京の大学らしいで。近々ここに呼んでもええ？」
「うん、久々に会いたいな私も。」
重岡「せやんな、俺らのことまだ言うてへんからびっくりするで、絶対。」
にひっと笑う大毅のエクボと歯並びにキュンとする。
それとともに、心に空虚感が生まれる。
重岡「Aは、懇親会どうやったー？
偶然会った友達おったー？」
不意に言われたその言葉に、心がどくんとする。
「…ううん、いなかったよ。」
重岡「そやんな。まあ、おったらすげえ偶然やもんなー。」
大毅に内緒にしなきゃと思ったのは、やっぱり申し訳なさが勝つから。
大毅は、
私が中高生の時、神山くんのこと好きだったの、知ってると思うから。
私はこのモヤモヤを早く吐き出したいと思う。
だけど、今じゃない。
神山くんと重ねた時間よりも
大毅と重ねた時間の方が何百倍も、何千倍も長くて大きい。
わかってるよね、私。
私は、今目の前にいる人が大事でしょ。
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作者名：きい
| 作成日時：2021年8月1日 20時
