[1]恋は不明瞭【赤】【緑】 (ページ31)

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夜のシフトが終わり、ロッカー室で携帯を見ると、大毅から数分前にLINEが来ていた。

”駐車場におるから。慌てずに来てな？”

気遣いが上手でその優しさに胸が高鳴る。

早く会いたい。

"分かった。迎えに来てくれてありがとう。今から着替えるから待ってて。"

私が着替えた後、スマホのバイブがなる。

いつもならここで既読ついて終了するのに、なんだろう。

　

　

通知を見て、背筋が凍った。

神山久しぶり。色々あってAの大学の教授に研究関連で挨拶しにいくねん。

神山会えたりできる?3日後なんやけど。

…神山くんからのLINE。

それだけで、何かいけないことをしている気がしてしまうのはきっと

大毅に対して後ろめたい気持ちがあるからに違いない。

神山くんと同じ会社に勤めることになったことは、

私が大毅にいつかは言わなきゃいけないことなんだけど。

それを後回しにしているから、こんなに心臓に悪いことが起きているんだ。

私はその通知を消した。既読をつけずにスマホを閉じる。

…会えたり。できるけど。

バレたら絶対に嫉妬する。

重い空気になることは間違いない。

大毅は神山くんと親友だったけど、

私が介入したら話は別だった。

高校時代の思い出を辿ってもわかる。

何回も"神ちゃんのこと好きなん？"って大毅に聞かれた高校の思い出。

その度に”違うよ”って嘘をついてきた。

私は、大毅にいい顔をしながら

神山くんが引っ越すことは知っていたから、どうせ叶わぬ恋だったから

神山くんを困らせたくなくて、神山くんに想いを知られたくなくて。

自分の本当の思いに蓋をして"違う"って言い聞かせてきた。

　

ソラ「Aー、お疲れ。」

ソラがロッカー室に入ってきて私は一緒に着替え始める。

「お疲れ。ソラ夜シフト初めてじゃない？」

ソラ「まあねん。」

「家まで送ろうか？大毅迎えにきてくれてるから。」

ソラ「マジ？めっちゃありがた。」

一応大毅にラインしたら全然ええでって返ってきた。

　

二人で駐車場に向かう途中で、ソラが

ソラ「私送ったら、二人で絶対コンビニ行って、パピコ半分こしなさいよ」

って、またアドバイスをくれた。

「…分かった」

ソラのアドバイスはいつも的確だから

今回もそれに応じよう。