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重岡「ハーゲン買ってきてん。お祝いに。食べる?」

「え、いいの?てか、なんのお祝い?」

重岡「決まってるやん。俺らの内定祝い。」

「ふふ、今?」

重岡「やっと懇親会もお互い終えたしな。」





私がだらけた部屋着でいられるのも、5年付き合っている証拠。



重岡「どっちがいい?」

「何があるの?」

重岡「抹茶。」

「…と?」

重岡「抹茶。」

「抹茶と抹茶?」

重岡「うん。どっち?」

「前者かなぁ。」

重岡「ほい。俺は後者。」







どっちも抹茶なのに、くだらない会話をしながらふぅ、と、地べたに座り込む。


机の上には缶チューハイ。


「お酒、買ってきてくれたの?」

重岡「ん、まぁ。」

「ありがとう。」

重岡「あんま、飲み過ぎんなよ。」

「はいはい。」









 




大毅が抹茶はうまいって言いながらバクバク食べる横で、私が抹茶を口にしてほんとだねって言う。


大毅は、私にそっちもうまそうやな、味見させてやって

大きく口を開けるもんだから。

私は自分の抹茶をスプーンですくって大毅の口の中に入れる。



口をよく動かして大毅が小学生みたいに、うま!っていうけど


「いや、どっちも抹茶の味。」

重岡「その返事、待ってた。笑」





どうやら、私がつっこむまで待ってたらしい。



私はツッコむのがそこまで得意じゃないのに。




「大毅は昔からホント、ボケたがり。」


重岡「へへ、まあな。」


「覚えてる?鉛筆鼻に近づけてぶら下げるふりして"あおっぱな"って言ってたの。」

重岡「いつやねん、忘れたわ。」

「小学生の時だよ。」

重岡「えー。そんな昔のことなんか覚えてへんわ。」







 







大毅とは、幼稚園の時から大学も同じ。

…というか、大毅は大阪の大学に行くって言ってたんだけど。

私が東京に行くって言ったら、大毅は最初反対してたものの、自分も行くって言い出して。

その時かな。むっちゃ喧嘩したの。





「兵庫時代、懐かし。」

重岡「へへ、お前関西魂置いてったもんな。」

「おいてへんわ」

重岡「うわ、めっちゃいわかーん」

「なんでやねん。」

重岡「うわ、今のなんやねん。」

「ツッコミが下手なだけや。」






二人して笑い合う。




そうだ。こんな小さい幸せを積み重ねてきたんだ私たちは。

ちりも積もれば山となる。

だから、大きい喧嘩をしても乗り越えられたんだ。

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作者名:きい | 作成日時:2021年8月1日 20時

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