[1]恋は不明瞭【赤】【緑】 (ページ27)

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27 小瀧ページ27

小瀧side

バイトが上がり、代わりにAがバイトのタイムカードを切ってくれた。

小瀧「ありがとう」

「いえいえ。」

Aはこれからシフトのようで。

夜シフトは週に一度だけいれてる。

そういえば、ソラも初めて今日夜シフトやんな。

小瀧「ソラは？」

「もうすぐ。珍しいよね。夜シフト入ってるの。」

小瀧「な。」

　

Aがあたりを見回して

「あ、藤井だ。」

と聞き慣れた名前を呟く。

なんやっけ。藤井…。聞いたことあんな。

小瀧「…流星？」

「え、なんで知ってるの？」

小瀧「シゲがなんか言ってたなぁ」

まさかの、シゲが嫉妬しているその相手やったから。

俺も観察すると、なるほど。死ぬほどイケメンやんけ。

ソイツが立ち上がると同時にAが会計に向かう。

流星が会計の前でAの方を見て驚いた顔をする。

…たまたまここに来たらAがおったからビックリしたってことか。

重岡『俺が別れようって言ったら、アイツは未練もなくさっさと俺のことなんか忘れられるくらい立ち直り早いねん。』

シゲが言ってたこの言葉。

こういう風に思ったきっかけももしかしたら藤井流星なのかもしれへん。

流星なら何か知ってるかもしれへん。

俺は急いで荷物をまとめて外に出る。

ちょうど流星が外に出て歩き出すところやった。

小瀧「あの、藤井くん…！」

流星が振り向いて”あぁ、さっきのカフェのお兄さん”なんて気楽に話すから。

イケメンさとのギャップになんかおかしくなる。

藤井「俺、忘れ物またしちゃいました？」

小瀧「あ、いや、え、また？」

藤井「てか、なんで名前…？」

小瀧「あの、重岡大毅の友達で。」

藤井「え、へぇ、シゲの。

…俺になんの用っすか。」

流星は俺に近づきながらも警戒心をあらわにする。

まあ、そうやんな。

でも、俺からしたら親友であるシゲの恋を応援したいから。

ここで引くわけにはいかへん。

小瀧「シゲのことで聞きたいことあって。」

藤井「あぁー。なるほど。

ここで話すのもなんやし、どっかカフェに入ろうや。

あっさっきのとこは勘弁。シゲの彼女も働いてるんやな。」

小瀧「あ、そうそう。Aね。」

　

すぐに意気投合したのは、

流星が人見知りをあまりしないのと

人と対等に話してくれる穏やかさも相まって

流星も、きっとシゲのことを応援してるから。