[1]恋は不明瞭【赤】【緑】 (ページ3)

今日:27 hit、昨日:10 hit、合計:36,153 hit

3 ページ3

神山くんとのLINEを閉じて、

もう1人、別の人に電話をかける。

『もしもし？』

「あ、大毅。終わったよ。」

『お、お疲れさん俺まだ昼飯まだなんやけど、どう？

昼から飲まへん？』

「えぇ、でも大毅車で来るんでしょ？」

『いや、さすがに。バスと電車。浅草行こうや。』

「うーん、でも暑いし。家飲みにしよ」

『おーけーい。じゃ車で迎えに行ったるわ。最寄駅で待ってるな。』

電話を切って、深呼吸。

　

…大丈夫。

心躍る自分の心臓を手で触る。

ドクドク。

　

　

大丈夫。

私は大毅と付き合ってる。

そして、大毅と電話するだけでこんなに心臓がバクバクしている。

大毅と一緒に住んでるんだから。

　

ちゃんと、そこに愛はある。

早く会いたい。

電車、早く最寄り駅に着かないかななんて思っているのは

焦っているからなのだろうか。

スマホの画面を開くと

“着いたで。一生待ってる。”

普段はおちゃらけてるくせに、意外とロマンチストな大毅をLINEで垣間見て

ふふふっと笑いながら電車から降りる。

階段を降りて車を見つけて走り、

助手席に座ると

重岡「お前、履き慣れないヒールなんやから走るなや。」

「ただいま。」

重岡「おかえり。ハハッ、どんだけ俺に会いたいねん。」

なんて笑いながら、助手席の頭に左手を置きバックする姿にキュウッと胸が締め付けられる。

「スーパーマンよりも会いたい。」

重岡「…俺、スーパーマンよりもカッコええのか。」

「うん。」

重岡「やめろや、はず」

つっこめや、なんて口元を手の甲で隠しながら言う大毅。

側から見たらバカップルの会話。

　

　

大毅と付き合い始めてもう5年。

喧嘩もすれ違いもあったりしたけど

まあまあ、ちゃんと乗り越えてきたから

これから先も、乗り越えられるだろう。