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全ての手持ち花火が終わり、
ともくんが腕時計で時間を確認した。
神山「やばい、花火大会の方の花火が始まってまう！」
藤井「やばいやん、片付けなあかんのに。」
線香花火の後に花火大会の花火を見て
終わるのが私たちの七夕の恒例。
だから、線香花火が終わっても、全然寂しい気持ちにならない。
逆に言えば、花火大会が終わる次の日には、私は東京に戻ってしまう。
大学の授業はまだ終わってないから。
次に帰るのはお盆休みかな。
でも、お盆休みは家族の行事でなかなか会うことがない。
重岡「みんな、先行っててええよ。」
濱田「ん？」
重岡「俺とAでささっと片付けちゃうから。
A、協力してくれへん？」
「あ、うん。」
二人きりになれる事実が嬉しくて
全力で頷いてしまったの、誰にも見られてない…わけないか。
自分の恋のダダ漏れさに呆れる。
濱田「そっか。じゃあ、男３人で行ってるな〜。」
藤井「お先。」
重岡「はいはいー」
みんなが指定の場所へ勢いよく走り出す。
重岡「片付けよ。」
そう言ってニコッと笑う大毅に私は頷いて
近くのゴミ箱に使い終わった花火を捨て、大毅はバケツの水をまいた。
ろうそくとかは橋の下の角の方におく。
二人の会話がなくても
この一緒にいれる空間が嬉しい。
そんな空間も、もうすぐおわてしまう。
空に打ち上がる花火を見終わったら
次大毅に会えるのは、来年の七夕。
大毅の顔をじっと見てると
大毅がこっち向いてニヤッとした。
重岡「ここで見ようや。」
「え？」
重岡「花火。」
「花火？」
重岡「この草むらに座れば、Aも服も汚れへんやろ？」
そう言って、私の手を引く。
「あ、手汗が今ひどくて。」
そう言うと、大毅が笑った。
重岡「ハハ、大丈夫。
俺の方がひどいから。」
手が熱い。
大毅の手を握っているだけでも茹で蛸になっている。
二人で花火を見上げるのは、初めてだ。
空を見たら、天の川が広がっていてその美しさに引き込まれていた。
ストーリーA
ストーリーB
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作者名：きい
| 作成日時：2021年7月5日 21時
