【赤】花火の魔法にかかってしまえ (ページ9)

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ダメだ。集中できない。

輪になってみんな各々の線香花火に集中しているのに

右隣に大毅がいるっていうだけで

手が震えちゃって

もう無理だと思わせてしまう。

藤井「A、めっちゃ手震えてるやん！」

「あ、あ、ちょっと！」

左隣で笑っている流星に急に言われて、

それに動揺してもっと手が震えて落ちてしまった。

濱田「ホンマ、流星はAに意地悪やんなー。」

神山「ああいうのに、ひっかからんようにせんとな。Aも。」

重岡「振り込め詐欺とかな。」

濱田「お金のことなら濱田崇裕銀行に問い合わせを！」

重岡「そんな名前の銀行ないねん。」

　

　

悔しくて、私は流星の右手をガッとつかんで思い切り左右に揺らした。

重岡「…。」

藤井「あ、おい！

何してくれてんねん！」

「仕返し。今までのね。

ゴキブリおもちゃで遊ばれたり

ビリビリボールペンで遊ばれたり

全部の仕返し！」

藤井「おうおう、上等や。逆にこんなちっぽけな仕返しでええんか？」

流星はいつも私にだけちょっかいをかけてくる。

やめてって言ってるのに、やめない。

こういうちょっかいは、他の人に対しては大毅がやるのに

大毅は私にちょっかいをかけない。

大毅って、私と他の人とちょっと態度が違って、

なぜか優しくなる。

そういう優しさも、大毅のことを好きになった理由の一つだ。

　

　

　

　

　

神山「あ、落ちた。」

濱田「ああ、落ちてもうたー。」

　

　

最後まで火がついていたのは、

　

　

重岡「長命やったな。」

前髪をかっこよくかき分けた大毅だった。