深山さんの初恋 ページ23
「乗り込んだ敵の集会で逆に返り討ちに合ったんだ。アイツらバカだから当然頭に血が昇ってさ」
あの集会でマイキーくんが助けてくれて、ドラケンくんが彼らを追い払ってくれた訳だけれど、逆にそれで火が着いた、と。
「奇襲してやろうとAを待ち伏せしてたヤツがいて。まぁ、その中にウチの兄貴も含まれてるんだけど、………アンタ佐野のバイクに乗せてもらって帰ったらしいじゃん?」
ニヤニヤと深山さんが私を見る。
「そ、それは、………仕方なくて……」
「ふーん?でもそれを目撃した兄貴が『あれは佐野の女で間違いねぇ!』って息巻いてたけど?」
「寧ろ何でそう思われたんだ………」
「この前自転車の後ろに乗ってた時みたいに抱き付いてたんじゃねぇの?」
「う…」
「図星か!!ウチあの時めちゃくちゃショックだったんだからな!謹慎が解けたばかりで!アンタが佐野の自転車の後ろで抱き付いてたのを見たとき!!」
グイグイと深山さんが詰め寄ってくる。
「ご、ごめんって………」
何とか彼女を宥めて、お互い靴に履き替える。
「………佐野はさ、アタシの初恋の人の弟なんだよ」
ぽつりと溢された言葉に一瞬何の話しかとキョトンとしたけれど、以前マイキーくんはお兄さんがいたと話してくれていた。
「それって、マイキーくんのお兄さん?」
「そ。…何だAも知ってんの?」
「え、いや、会ったことはないけど、話だけ聞いた事があって」
“あの人は昔、アタシら兄妹を助けてくれたんだ”
校門へ向かって歩きながら隣を歩く彼女を見ると、その目は遠くを見つめていた。
「自分も大して強くないクセに、不良相手にウチらを庇って喧嘩してくれた。………暫くしたらさぁ、その人の仲間が来て。そしたら、あっという間に倒しちゃった」
キラキラと目を輝かせて深山さんが私を見る。
「ウチら兄妹はね、アノ人に憧れて不良になったんだよ」
「…。」
前にマイキーくんが言っていた言葉を思い出す。
『無鉄砲な人でさ。自分より全っ然強ぇ奴にも平気で喧嘩挑んじゃうの』
きっと、マイキーくんも深山さんと一緒でお兄さんに憧れていたんだ。
マイキーくんのお兄さんは喧嘩は強くなかったかもしれないけれど、二人が話すその人物像はとてもかっこよく聞こえる。
きっと信念を持っている人だったんだ。
「だから、アタシは今でも佐野にアイツの兄貴を重ねてるんだ」
そう言った彼女は照れ臭そうに笑った。
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月見(プロフ) - まろまゆさん» コメントありがとうございます!面白いと思ってもらえていて、とても嬉しいです。ぜひ、キュンキュンして騒いじゃってください!!更新頑張りますので、宜しければ完結までお付き合い下さい! (2021年9月29日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆ(プロフ) - 初コメ失礼します!!いつも、更新楽しみにしてますー!めっちゃ面白い上に、マイキーが所々キュンキュンすることしてきて、見てるこっちも騒ぎソウデス…w これからも頑張ってください!! (2021年9月29日 11時) (レス) @page38 id: 65d35f23ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月11日 16時