火のない所に ページ16
「あの画鋲が誰の仕業か分からなかったときは、いつまで続くかとか、他にも何か起こらないかとか不安だったけど、謝ってくれたから。私はそれで十分だよ」
そう伝えると、九条さんが少しだけホッとしたような表情を見せてくれた。
「ごめんね。私、人を好きになるってどういうことか、まだよく分かってなくて。自分の気持ちよく分かってないんだ………」
「え?」
「私はマイキーくんとは何でもない。ただのクラスメイトなんだよ。…まぁ、今は訳あって、ちょっと助けてもらってるんだけど」
苦笑いを浮かべると彼女がキョトンとし始める。
「一緒にいることが多いのは、今だけ。問題が解決したら、一緒に帰ることももうないと思う」
だから、九条さんがマイキーくんへの気持ちを諦める必要はない。
そう伝えようとしたとき、直ぐそばで「はぁ?」と深山さんの声がした。
「何だよソレ?一緒にいることが多いのは、今だけ?じゃあ何でオマエはアイツといるとき楽しそうなんだよ!?」
ぐいっと深山さんが詰め寄ってくる。
「え、それは………お友だち、だから?」
「お友だちだったら、自転車の後ろで抱き付けんのかよ!!」
この前の時のように、グッと深山さんが私の胸ぐらを掴む。
「っ!」
「み、深山先輩っ!」
九条さんが焦った顔で、オロオロと深山さんを止めようとしてくれているのが視界に入る。
「ウチ知ってるよ?アンタがウチの兄貴が入ってるチームから目ぇ付けられてること」
「…!」
深山さんが冷たい視線で私を見下すように告げた。
やっぱり、愛美愛主にいる深山さんのお兄さんは妹である彼女に私のこと話してるんだ!
「何したのか知らないけど、兄貴のチームはバカばっかりのクセに、嗅ぎ回るのだけは得意でさぁ。本当かどうかわかんねーけど、オマエのこと“佐野の女”だって言ってた」
「ち、違う…!」
「違う?…火のないところに煙は立たないって言うだろ?なぁ、本当のこと言えよ!!」
グッと彼女が拳を作るのが目に入る。
いつか見た光景とよく似たシチュエーションに、まさか………と、冷や汗が出始める。
「せ、先輩っ!」
九条さんが深山さんの腕を掴んだけれど、それは呆気なく振りほどかれた。
「本当だからっ、…信じて!」
深山さんの目を真っ直ぐに見る。
迷っているのか、少しだけ彼女の目が揺れて見えた。
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月見(プロフ) - まろまゆさん» コメントありがとうございます!面白いと思ってもらえていて、とても嬉しいです。ぜひ、キュンキュンして騒いじゃってください!!更新頑張りますので、宜しければ完結までお付き合い下さい! (2021年9月29日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆ(プロフ) - 初コメ失礼します!!いつも、更新楽しみにしてますー!めっちゃ面白い上に、マイキーが所々キュンキュンすることしてきて、見てるこっちも騒ぎソウデス…w これからも頑張ってください!! (2021年9月29日 11時) (レス) @page38 id: 65d35f23ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月11日 16時