恋と嫉妬 ページ15
連れてこられたのは、人気のない体育館裏だった。
到着すると漸く手を離してくれた深山さんが私へ視線を向ける。
ドラマや漫画でこういう展開を見ることはあったけれど、まさか自分がそうなるとは………
「さぁ、どっちからカタつける？」
「え？」
「タイマンって言ったろ！ウチが先か、コイツが先か選べよ」
深山さんがビッと親指で九条さんを指す。
つまり、一人ずつってこと？
「じゃあ、………聞いてもいいかな？」
私は九条さんを真っ直ぐに見る。
ビクッと肩を揺らした九条さんが、思い詰めたように私を見た。
私もそうだけれど、九条さんもこういったことは初めてなのだろう。
ぎゅっと自らを抱きすくめる姿に、緊張しているのが伝わってくる。
「ごっ、ごめんなさい！！」
突然、バッと頭を下げた九条さん。
「えっ？」
「はぁ？」
私も深山さんもその行動に驚いて、同時に声をあげると彼女がゆっくり体を起こした。
「こんなことダメだって…やめなきゃって思ってたんです！でも私、先輩に直接何か言うとか、そういう勇気がなくて………」
一生懸命伝えようとしてくれている。
それが分かったからなのか、深山さんも黙って耳を傾けていた。
「……去年の春、私が入学したばかりの頃、不良に絡まれて。その時に佐野先輩が助けてくれたんです。……そこからずっと、片想いしていました」
驚くことに九条さんも私と同じで、マイキーくんたちに不良から助けてもらったことがあると言う。
「佐野先輩も不良だから、その後話しかける勇気がなくて。遠くから眺めているだけでいいと、思っていました。……でも、学年が変わってから、柏木先輩が佐野先輩と一緒にいるところをよく見かけるようになって………」
そう言った九条さんの表情が歪んでいく。
まるで涙を堪えているみたいだった。
「柏木先輩が佐野先輩と一緒に帰ったり、自転車の後ろに乗っている姿を見たとき、苦しかった。…辛かった。私の方が前から佐野先輩のこと好きだったのに。急に取られたみたいで。悔しくて」
“ただ、佐野先輩から離れて欲しい。れだけだったんです”
最後に彼女はそう言うと、頭を下げてもう一度謝ってくれた。
「九条さん、顔上げて？九条さんがマイキーくんのこと好きな気持ちも、私に申し訳なく思ってくれてることも、もう分かったから」
「柏木、…先輩」
ゆっくり顔を上げた彼女の目は、涙の膜で揺れていた。
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月見(プロフ) - まろまゆさん» コメントありがとうございます！面白いと思ってもらえていて、とても嬉しいです。ぜひ、キュンキュンして騒いじゃってください！！更新頑張りますので、宜しければ完結までお付き合い下さい！ (2021年9月29日 12時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆ(プロフ) - 初コメ失礼します！！いつも、更新楽しみにしてますー！めっちゃ面白い上に、マイキーが所々キュンキュンすることしてきて、見てるこっちも騒ぎソウデス…w これからも頑張ってください！！ (2021年9月29日 11時) (レス) @page38 id: 65d35f23ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2021年9月11日 16時
