消えないで、初恋

第１話 ページ6

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私の腹黒いお願いを神様は叶えてくれなかった


新しい教室に入って視界に飛び込んできたのは


隣同士の席で楽しそうに会話する想太と橋下さん



…想太、頬緩みまくってるし



なるべく見ないように背を向けて荷物の整理整頓をする


すると部活用のエナメルバッグに付けていたお守りが取れてしまった


急いで拾おうとしゃがんだらすっと拾い上げられたそれ


驚いてパッと見上げると見慣れた顔


男子バレー部の、井田浩介




「はい。今年も一緒だな、小野島」

『あ、井田、ありがと。もしかして隣?』




そうみたいだな、と同じく大きめのエナメルを私の隣の席に置いて座った




『…よかった、実は仲良い子たち全員離れちゃってさ、話す人いるかなってちょっと不安だったんだ』




5人いるチームメイトも見事に違うクラスだし、1年の時仲良くしてた女子バレー部の雪乃とも離れてしまった


仲良しとはお世辞にも言えないけど、会ったら会話するくらいの仲ではある井田が隣なら話し相手には困らなそうだ




「あいつは?青木、仲良いんじゃないのか?」




井田が後ろの席に座る想太に視線を移しながら「前に二人で帰ってるの見た」と付け加えた


当の本人は話題に上がっているとも露知らず、愛しの橋下さんとのお話に夢中




『…あー、ただの幼なじみだから。学校ではそんなに話さないし』




「ただの幼なじみ」なんて、自分で言ったのに悲しくなる


ちらっと盗み見た想太は横顔ですら明らかなほど笑顔で


…私にあんな顔見せてくれたことあったっけ


「ふーん」と興味なさげに呟いた井田が私を見ていたことにも気づかないほど、想太と橋下さんに意識が向いてしまっていた




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