消えないで、初恋

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「俺Aちゃんの後ろじゃん、やったね」




井田意外に周りで話せそうな人がいなくて、最初のHRが始まるのを大人しく待っていた時


黒板に貼られた座席表を見て大声でガッツポーズを決める人物は他ならぬ相多くんだ


彼のせいでクラスメイトの視線が痛いほど突き刺さるのがわかった


当の本人は気にする様子もなくスキップでもしそうな勢いで近くまで来て「よろしくAちゃん」と言い放った


相多君には図書館で初対面を果たしたあの日から校内で会うと謎に絡まれるようになった


私の見解は「ただの顔見知り」程度だが、パーソナルスペースの広そうな彼にとっては「仲のいい友人」くらいの格付けになっているのかもしれない




『…う、うん、よろしく』




…はっきり言って相多くんは知る限り少し苦手なタイプ


想太の親友だし悪い人ではないのはわかるけれど、正直チャラチャラしているように見えるし。


私の返答に満足そうに笑った相多くんは、すぐに隣の想太に絡み始めた




『…はぁ、』




2年生が始まったばかりなのに、なんだか気疲れしてしまった


まだ親しい友人候補すら見つけられてないのにすでに少し浮いている気がするのは気のせいじゃないと思う


隅の方で固まっておしゃべりをする女子グループの視線を感じるのだって、きっと


…どうしよう、不安しかない




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