【名探偵コナン】消えた捜査官4【降谷零】

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どうして俺たちは
近づけば近付くほど、遠く感じるのだろう。

次に、通りのその奥が見えた時
もう既にAの姿は無かった。

『だから、幸せになってね。
バイバイ、降谷。』

幸せなど、A以外にあり得ないというのに









降谷は嫌な胸騒ぎを感じていた。
またしても車の往来が降谷の行く手を阻む。
あの時ほど前が見えていない訳ではないが、この道路を突っ切ってAの元に駆け付けたい気持ちはあの時と何１つ変わらなかった。

「安室さん……っ‼‼」

立ち尽くす降谷を現実に引き戻したのは、遠くから聞こえた自身のもう１つの名だった。
見ると、こちらに駆け寄ってくる小さな影。
普段は大人びた表情を見せる小さな名探偵も、見るからに焦っているのが確認出来た。

「コナン、君…」

「…安室さん…っ‼これ…っ‼」

突然のコナンの登場に目を丸くした降谷は、コナンから差し出された物を目にした瞬間、それ以上に目を丸くした。

「これ…。コナン君…これを一体どこで…？」

降谷の声はかろうじて震える事はなかった。

「Aさんと電話した時に逆探知した一軒家に置いてあったんだ。
自分にしか価値のない物だけど、汚い大人の手には触れられたくないから持ってて欲しいってメモが‼」

降谷には見覚えのありすぎる物だった。
煤のついたそれらを、降谷は愛おしそうな手つきで撫でる。

「Aさん、きっともう部屋に戻るつもりなんて無いんだよ‼
Aさん、これから復讐しに行くつもりだよ…っ‼
安室さんも気付いたんでしょ…っ⁉
Aさんの父親は加害者なんかじゃなくて、被害者だって…っ‼」

「…ああ。」

「Aさん言ってたんだ。
大きな嘘を隠し続けるには、それよりほんの少し小さな嘘で見えなくすればいいって。
もしその言葉が本当なら…

Aさんの本当の目的は…
詐欺師への復讐と見せかけて
自分の父親と家族を殺した真犯人への復讐だよ…っ‼‼
きっと、そいつを殺して復讐を遂げるつもりなんだよ…っ‼」

「……。」

コナンは、必死で安室へ訴えかける。
しかし、安室の答えは生返事だ。


降谷は、何かを忘れている気がした。

(なんだ…この違和感…)

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