【名探偵コナン】消えた捜査官4【降谷零】

149 -第4章 終- ページ29

煤にまみれたそれらの横には1枚のメモが添えられていた。

【親愛なる小さな探偵くん。
勝手に押し付けるのは申し訳ないけど
君にこれを持っていてほしい。
私以外にはまるで価値のない物だけど
いずれここを訪れるかもしれない汚い大人の手には触れられたくないから。】


テーブルの上に、そっと身を寄せ合うように置かれた2つの宝物。

「写真…？」

はたから見れば何の変哲もない
澄み渡る様な、けれども複雑な青が混ざり合った空と、中央に浮かぶ歪な形の雲を捕らえただけの写真

「これを、火の中から…？」

決して可愛いとは言えない、年季の入った様な、木で掘られた深海魚のキーホルダー

Aの言う通り、確かに他の人間には何の価値もない代物だろう。
けれどコナンは、それを大事に、大事にそっと手に取り、しっかりと両手で包み込んだ。


コナンは、やがてクローゼットに辿り着く。
そこには1つだけ、今も尚、色褪せない誇りが掲げられていた。

「警察官の、制帽…」

年季が入っていてもそれは、日々綺麗に手入れされているかの様に見えた。

「まさか…Aさんの父親は、
加害者なんかじゃなく…被害者…？
だとしたら、一家心中の汚名まで着せられたって事かよ…」

コナンも、見えていなかった真相の入り口に辿り着く。
そして、気付きたくなかったAとの電話の違和感の正体に気付いてしまった。


『太陽があるかないかで
世界は大きく違って見えたんだよ。
命を懸けてでも守りたいものがある人生なんて案外悪くなかったかもよ。』


「途中から…過去形だ…」









ーとあるBAR VIPルームー

「情報料」

テーブルに置かれたのは、いつもと同じ様に現金ではなく、貸金庫の鍵と一冊の通帳だった。

「いつから俺の店は前払いになった」

「それだけあれば足りるでしょう。
情報が無いとは言わせない。」

「………。」

「貴方の言う通り、黒鷺(クロサギ)はもうお終い。
…これが最後。」

「………。」

「鮫島公康についての情報を全て。」


ー第4章 終ー

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