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「俺の為に、止まってくれ。」

ー19:56ー

時間が止まった様にも感じられた。
それ程までに沈黙は長く、まるで世界に2人だけかの様な錯覚に陥る。
その中で、Aは降谷の為だけに言葉を紡ぐ。

「…良かった。」

「A…」









「それ以上、嘘を重ねるつもりなら貴方の事嫌いになる所だった。」

「……っ‼」

「あの時は、その内負けちゃうんだろうなって思ってた。」

「…何の話だ」

「チェス」

学生時代から、降谷はよくAとチェスで対決をしていた。
最初は遊びだったはずのそれも、回数を重ねるに連れてどんどん白熱したものに変わっていった。
チェスが得意と豪語するAに、結局降谷は1度も勝てた試しがなかった。

「でも、今の貴方となら負ける気がしない。
勝利の為には、非情にならなきゃ。
…嘘をつく時は、しっかり目を見て話さないとね。」

降谷が、無意識にAの目から視線を逸らしてしまった最後の一瞬を、Aは見逃してはいなかった。

「あの人と取引を交わしたっていう情報でも入手したんでしょう?」

「…っ」

月明かりでぼやけるも、降谷はAがしっかりと自身の目を見つめていることは分かった。

「死んでも言わない。」

「……っ」

更に厚い雲が、満月を覆い隠す。

「譲れないものがあるなら、ずっと握り締めておかないと。
気付いた時にはもう遅い。
気付く頃には既に奪われてる。」

脈絡もなく発せられたその言葉。
確信はなかったが
降谷は、Aにとってその言葉が示すものが
【安藤に奪われたAの正義】の事だと、直感的に悟った。


ー19:59ー

「…もう逃げ道はない。大人しくこちらに…」

Aは時計を確認した後、もう一歩後ろに下がった。

「無駄な抵抗はよせ…
ここは地上30階建てだぞ…っ」

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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虎鉄(DC一時お休み中)(プロフ) - スカイさん» スカイ様、返信遅れて申し訳ありません!コメント下さり有り難う御座います(^^)スカイ様の涙腺を刺激出来たなら本望です笑。御礼を言うのはこちらの方です。短くはないこの作品を読んで下さり、そして感想まで下さり本当にありがとうございました!!感謝です。 (2020年6月20日 10時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - すごく感動しました。涙が溢れてきて胸がキューとなってこんな素晴らしい作品を作ってくださりありがとうございます (2020年6月13日 2時) (レス) id: 8bcf366f5d (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - しろさん» なんと嬉しいお言葉でしょうか。自己満足の小説に、その様なコメント頂けて嬉しいと感謝の他に言葉が見つかりません。落胆されぬ様にこれからも執筆させて頂きます!これからもよろしくお願いします。ありがとうございます! (2018年5月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 初めての感覚です。何か映画や連ドラを見てる気分でした。心の底から応援してます!!こんなに引き込まれるのは初めてです!!!! (2018年5月30日 18時) (レス) id: fe2831d1b4 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - KAZUKIさん» コメントありがとうございます!身に余るお言葉…そう言って頂けて本当に嬉しいです。10枚以上書き連ねたプロットが報われる様な気がします。話が重く複雑なので悩む事もありましたが、書いてきて良かったです。もうすぐ佳境です、引き続きよろしくお願い致します★ (2018年5月30日 0時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年5月20日 15時

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