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(発砲した、だと…?)
突然現れた車から伸びた左手は、何の躊躇いもなく片手のまま引き金を引いた。
キュラソーの乗る運転席のガラスは粉々に砕かれ、その破片は後続を走る降谷の車にキラキラと降り注いだ。
キュラソーの車は衝撃で一瞬左に流れはしたが、減速はせず、すぐに体勢を立て直した所からみて、間一髪銃弾を受ける事は避けられたのだろう。
引き下がらない左手は、間髪入れずにキュラソーの車の右前輪に向けて、立て続けに2発撃ち込んだ。
しかし、キュラソーの車の勢いは落ちなかった。
後ろから走りを見ても、タイヤもパンクした様子はない。
「お前の腕が悪いのか?」
「…この口径じゃ歯が立たない。
弾かれる。」
「まぁ…そりゃ、猛スピードで回転するタイヤを貫通してパンクさせるにはライフル位用意しないとなぁ…っ、左手しまえよ…っ‼」
Aの返事を聞かないまま、白石はハンドルを思い切り左に切った。
黒い車体が、キュラソーの乗る車に横から思い切り体当たりを食らわす。
一瞬左に流れるキュラソーの車体もすぐに右に押し返す。
2台の速度と力は拮抗していた。
この絶妙なバランスが崩れるか、どちらかが力負けしてクラッシュでもしようものなら、大怪我どころか死は免れないだろう。
降谷には、キュラソーの車が一瞬減速した様に見えた。
それは気のせいではなかった。
黒い車もそれがわかったのか一瞬速度を合わせようと緩めた瞬間、それを待っていたとばかりにキュラソーの車は急加速して車体半個分飛び出した。
そのままキュラソーの車は、黒い車体を振り切り、前を走るトラックの間をジグザグに走り、トラックを惑わす。
黒の車は左右に揺れる車体をコントロールするのに必死な様だった。
トラックが制御不能に陥り、首都高のガードレールを突き破る。
キュラソーの車は宙を彷徨うトラックのコンテナの上を走り抜け、遥か遠くのコンクリートへと、まさに飛んだ。
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虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» こちらこそいつも読んで下さって本当に感謝です!後に浮かんだ方が主人公らしいかなとは思うんですが、まだ引っ張る?って自問自答してます笑。ラストまでまだまだなのでゆっくり考えます。すれ違った分どうか幸せに…。どうかこれからもよろしくお願いします! (2018年5月18日 0時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - 進行速度が遅いだなんてとんでもない!毎日の更新、本当に感謝ですm(__)mサラッと終わっちゃうんですか(; ゚ ロ゚)!?ハッピーエンド好きな私としては、どうか分かち合って欲しい(>_<)でもどんなエンディングにせよ、虎鉄さんに付いていきますので頑張って下さい!! (2018年5月17日 22時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - いぶさん» ご指摘ありがとうございます!一個年上でしたね(u_u)部下=歳下とばかり思い込んでました。ご指摘下さって本当に感謝です^_^!後でこそっと修正します笑。ただ今いそいそと書き上げておりますので、長い小説ですがこれからも読んで頂ければ嬉しいです^_^★ (2018年5月13日 22時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
いぶ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています。95のシーンで風見より年上のあの人と私は、というところがありますが、降谷さんは風見より年下だったと思います。もし、あの人が降谷さんでなかったり、この中では変更していたらすみません。これからも頑張ってください。 (2018年5月13日 22時) (レス) id: e657a95109 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» ぴよこ様に見限られてなくて良かったです笑!これからもすれ違うのを先に謝っておきます笑。コメントいつも本当にありがとうございます!たまに見返して書く原動力にさせて貰っております。まだまだ完結まで遠いですがこれからもお付き合い頂けると本当に嬉しいです★ (2018年5月9日 15時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年5月9日 2時