95 ページ19
キュラソーが既にゴンドラから居なくなった事を知らないAは、観覧車頂上近くのゴンドラを目指していた。
静かながらも、どこからかヘリのローターの音が絶えず聞こえている。
恐らく軍用のヘリだろうと想像はつく。
降谷が相手にしている組織の脅威を改めて知ったAは、溜息を零す。
「確かに、詐欺師の出る幕じゃ…ないかな」
ヘリはAの到着を待たずして、既にキュラソーの居ないゴンドラを奪還すべくゴンドラごとアームで掴み上げた。
「おいおい嘘だろ…っ⁉」
意識のない風見と共にゴンドラ内に居るコナンは、なす術がなかった。
キュラソーが居ないとわかったのだろう、ヘリのアームは掴み上げたゴンドラをいとも簡単に手放した。
重力のまま落下していく。
「…て…君、た……いくーん」
「…んっ…」
「探偵くん、大丈夫?」
ゴンドラ内にいた筈のコナンも風見もゴンドラの外へ投げ出されてはいたが、ゴンドラは運良く途中の支柱に引っかかり、地面への衝突は免れていた。
「ん…っ、…Aさん⁉どうしてここに、何して、いや、まず生きてたの⁉」
「…失礼な、そんなに何回も死んだり出来ないよ。
まず一回落ち着こうか。」
「落ち着くったって…、そうだ、おじさん‼」
コナンは風見に駆け寄ろうとするが、先程の衝撃で身体が強張り動けなかった。
そんなコナンの代わりに、Aが風見の元へ跪く。
「…ふふっ」
「…Aさん、どうしてこの状況で笑えるの」
「いや…そうだよね、この人でおじさんならあの人と私もおじさんおばさんかーって思ったら、ちょっと笑えちゃって。」
「あっ、いや別に…そう思って言った訳じゃ…」
「そんなに焦らなくても大丈夫だよ。
普段、本名を呼んだり、普通の会話をする相手なんて居ないから、考えた事もなかった。
でも、あの人がおじさんって言われたらどんな顔するかなーっ。」
笑いながらも、Aはテキパキと風見の怪我の具合を診ている。
こんな状況なのに、A1人の登場で、一気に平常心を取り戻せた気がしたコナンは今度こそしっかりと立ち上がった。
688人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» こちらこそいつも読んで下さって本当に感謝です!後に浮かんだ方が主人公らしいかなとは思うんですが、まだ引っ張る?って自問自答してます笑。ラストまでまだまだなのでゆっくり考えます。すれ違った分どうか幸せに…。どうかこれからもよろしくお願いします! (2018年5月18日 0時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - 進行速度が遅いだなんてとんでもない!毎日の更新、本当に感謝ですm(__)mサラッと終わっちゃうんですか(; ゚ ロ゚)!?ハッピーエンド好きな私としては、どうか分かち合って欲しい(>_<)でもどんなエンディングにせよ、虎鉄さんに付いていきますので頑張って下さい!! (2018年5月17日 22時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - いぶさん» ご指摘ありがとうございます!一個年上でしたね(u_u)部下=歳下とばかり思い込んでました。ご指摘下さって本当に感謝です^_^!後でこそっと修正します笑。ただ今いそいそと書き上げておりますので、長い小説ですがこれからも読んで頂ければ嬉しいです^_^★ (2018年5月13日 22時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
いぶ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています。95のシーンで風見より年上のあの人と私は、というところがありますが、降谷さんは風見より年下だったと思います。もし、あの人が降谷さんでなかったり、この中では変更していたらすみません。これからも頑張ってください。 (2018年5月13日 22時) (レス) id: e657a95109 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» ぴよこ様に見限られてなくて良かったです笑!これからもすれ違うのを先に謝っておきます笑。コメントいつも本当にありがとうございます!たまに見返して書く原動力にさせて貰っております。まだまだ完結まで遠いですがこれからもお付き合い頂けると本当に嬉しいです★ (2018年5月9日 15時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年5月9日 2時