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「…っ、助けて‼」

コナンは叫んだ。
そして自身の首を羽交い締めにする男へ向けていた時計型麻酔銃を、気付かれぬ様にパタンと閉じた。





事の始まりは、少年探偵団との帰路の途中だった。
悲鳴が上がった方向に目を向けると、女性が地面に座り込んでいた。
その前方には、明らかに女性物のハンドバッグを手に、走り去る男の影。
ひったくりだ。

「待てー‼‼」

「ひったくりー‼‼」

元太達3人は、大声をあげながら男の後を追い駆ける。
どう頑張っても小学一年のこの身体が、成人男性に追いつける訳がない事をコナンは知っている。
コナンは持ち前の推理力で瞬時に男の逃走ルートを予測し、待ち伏せに向かった。

今頃、1人すぐ近くの交番へ向かった灰原が冷静にひったくりの特徴を伝え、警官をすぐに向かわせた事だろう。
どうせすぐに解決するだろうと、当の本人はどっかで油を売ってるだろうが。

思った通り、男はコナンのいる方向へ向かって走ってきた。
予想通り、と笑みを一つ。
体勢を低く構え、腰のベルトから射出されたサッカーボールを蹴りあげる。
ここまでは良かった。

だがコナンは忘れていたのである。
蹴り上げた瞬間の違和感で、コナンは思い出した。
キック力増強シューズは今、博士の家で調整中だ。





「……ガキが舐めやがって…っ‼」

方向はドンピシャだった。
犯人に命中したものの、たかが知れている小学一年の脚力では、犯人を制圧するには至らなかった。
そのまま真っ直ぐコナンへ敵意を向けたひったくりは、まだ遠い警官の気配に勘付いたのか、軽々とコナンを抱き上げた。
軽いその身体を羽交い締めにすると、ポケットから取り出したバタフライナイフをその首筋に突き付けた。

だが、百戦錬磨のコナンに動揺はない。
むしろ、ひったくりごときで人質を取る為に罪を重ねるなんて、なんて浅はかだとさえ思っていた。
シューズが調整中という事を失念してはいたものの、なんのこれしき、手首を逆手に取り麻酔針を打ち込めば簡単に打開出来る。



「コナン君‼‼」

悲鳴をあげる同級生達に、頼むから何もしてくれるなよと思いながら、そっと時計を男に向けた。
その時だった。
同級生達の背後からスラリとした女が歩いてくるのが見えた。



ナイフを突きつけられている。
そんな特殊な状況でも、コナンはラッキーだと思った。

「…っ、助けて…‼」

そうして話は冒頭に戻る。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 色々やってる内に1日が終わってしまうので書き直しの目処は立ちませんが出来たら直そうと思ってます。いつも本当にありがとうございます!これからもよろしくお願い致します★ (2018年4月26日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 変なご心配おかけしてすみません!動きを文にするのは想像以上の難しさでした…「男を倒した」で済むのに勝手に拘ってうまく書けず自滅とはお恥ずかしい…精進します(笑)登場人物が多いと散らかるという事にも気づきました。 (2018年4月26日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - 更新ありがとうございます。虎鉄さん、大丈夫ですか?書き直す元気も時間もないとのことでしたが。書き直すのは余裕があるときで大丈夫だと思います(^^)もし書き直した時には教えていただけると助かります。読み直しますので(^^)dどうか無理はなさらないように(^ー^) (2018年4月26日 14時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» ぴよこ様へ。自分の文章が、ここの世代の主流とは逆行している気がして、合わせようとしたけど無理でした笑。心強いお言葉、本当に嬉しいですし、自分だけじゃないと心底安心しました。自分らしく続きを綴ろうと思います。続きを楽しみにして頂けたら嬉しいです。 (2018年4月25日 11時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - こんにちは。コメントさせていただきます。何だか小説を読んでいるような、どんどん引き込まれるような感覚で読ませていただいてます。ここの利用者年齢が低めだということを気にされているようですが、大丈夫です!私は低くありません(笑)これからも楽しみにしてます! (2018年4月25日 8時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年4月18日 2時

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