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意を決して、風見はルールを無視し降谷へ問い掛けた。
怒られる覚悟は出来ている。
「…降谷さん、大丈夫ですか?」
「…風見か。連絡が遅れて悪い。」
「いえ…」
降谷は、次の言葉を紡ぐのを躊躇った。
口を開くどころか、唇を噛み締める。
風見は、じっと降谷の言葉を待った。
ここまで憔悴しきった声で電話を掛けてくるなんて、何もなかった訳がない。
風見には降谷の身に何が起こったかは分からないが、頭の良いこの上司は、きっと風見が言わんとしている調査結果を悟っている。
「……」
「……」
「…居なかったんだな。」
それは、本当に小さな、
囁きに近かった。
「……はい。全ての部署を調べました。…綾瀬Aという警察官は存在しませんでした。」
「……そうか。」
「例の一万円札から、完全な指紋は一つも検出されませんでした。」
「っ…一つもか。」
「はい。微量ですがアルカリ性の反応が出ました。
綺麗に伸ばされているので一見分かりづらいですが、恐らく一度溶液に浸して指紋の成分を消したものと思われます。」
何故
一体何の為に
「…お力になれず申し訳ありません。」
「…いや、ありがとう。」
いや
答えはもう出てるじゃないか
男は抵抗する様子はなかったが、一歩一歩足取りは重く、半ば刑事に引き摺られる様な形で警察車両に乗せられた。
聞こえはしないが、俯きながらぼそぼそと何かを呟いていた様だった。
刑事と詐欺師を乗せたクラウンは、滑らかに動き出す。
後続のパトカーも無線連絡を終えたのか、警官がシートベルトを締めた。
その様子を降谷はぼんやりと見ていた。
「あとホームで騒ぎを起こした男性の身元ですが」
「……っ‼‼」
パトカーが動き出した。
視界が開けたその向こう
ビルとビルの間に
闇に紛れた彼女がいた。
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虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 色々やってる内に1日が終わってしまうので書き直しの目処は立ちませんが出来たら直そうと思ってます。いつも本当にありがとうございます!これからもよろしくお願い致します★ (2018年4月26日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 変なご心配おかけしてすみません!動きを文にするのは想像以上の難しさでした…「男を倒した」で済むのに勝手に拘ってうまく書けず自滅とはお恥ずかしい…精進します(笑)登場人物が多いと散らかるという事にも気づきました。 (2018年4月26日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - 更新ありがとうございます。虎鉄さん、大丈夫ですか?書き直す元気も時間もないとのことでしたが。書き直すのは余裕があるときで大丈夫だと思います(^^)もし書き直した時には教えていただけると助かります。読み直しますので(^^)dどうか無理はなさらないように(^ー^) (2018年4月26日 14時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» ぴよこ様へ。自分の文章が、ここの世代の主流とは逆行している気がして、合わせようとしたけど無理でした笑。心強いお言葉、本当に嬉しいですし、自分だけじゃないと心底安心しました。自分らしく続きを綴ろうと思います。続きを楽しみにして頂けたら嬉しいです。 (2018年4月25日 11時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - こんにちは。コメントさせていただきます。何だか小説を読んでいるような、どんどん引き込まれるような感覚で読ませていただいてます。ここの利用者年齢が低めだということを気にされているようですが、大丈夫です!私は低くありません(笑)これからも楽しみにしてます! (2018年4月25日 8時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年4月18日 2時