28話【暴風】 ページ29
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麗が稲妻に来てから約数ヶ月が過ぎた。
稲妻城の人々はほとんど麗の顔見知りになり、奉行所との仲も良好に続いた。
そんな彼女は今日鳴神大社で神櫻を見ながら物思いにふけるような顔をしていた。
「どうしたんじゃ麗。
汝らしくない顔をしておる」
『神子』
「何か気になることでもあったのか？」
『………風向きがおかしいの。
なんだか…不気味な感じがモンドの方から』
「モンドから？………風の噂じゃが…モンドには今風魔龍が暴れておるらしい」
『風魔龍？………トワリンのこと！？』
麗は神子の話を聞き、ある一頭の巨龍を思い出す。
モンドの四風守護の一角、トワリン。
風神バルバトスの眷属である彼がそんなことするはずがないと頑なに否定したい麗だがもしこの風がトワリンのものなら納得がいく。
『トワリン……もしかして数百年前の邪龍のせいで…』
数百年前モンドを襲った邪龍ドゥリンの一件を思い出し顔を青くする麗に「あくまでも風の噂じゃ」と宥める神子。
「信じたくないのなら信じないのも一つの手。
さ、そこでぼんやりしておるなら境内の掃除でも手伝ってもらおうかの」
『あ、待って神子！！勝手に押し付けないで！』
早々と八重堂へと向かう神子を追いかけるように麗は走ろうとし1度足を止める。
彼女は何か祈るように空を見上げた。
『ウェンティさん………本当にトワリンなら…助けてあげて…』
大切なものを失ってしまうのは1番苦しいことだから…。
＿＿＿
「へっくしゅっ」
場所は変わり、モンド。
七天神像の近くの茂みを歩いていたモンドの吟遊詩人、ウェンティはくしゃみをする。
ウェンティは辺りを見回し自分のアレルギーである猫が近くにいるのかと疑うがそうではないことを確かめた。
「…ということは誰かが僕を噂してたのかな？」
誰だろうな〜？と思いながらウェンティは歩き始めた。
エンジェルズシェア？それともキャッツテール？はたまた隣国の少年仙人かな？と頭を巡らせているとチャリと自身の神の目に手が触れる。
神の目を見た彼はふとある少女を思い出す。
その少女も"風の神の目"の持ち主だった。
しかし1年前に再会した時には彼女の帯には神の目は存在していなかった。
彼女は今、どこで、何をしてるだろう。
泣いてないといいな、と思いながらウェンティはトワリンがいるであろう場所に向かう。
運命の時間まであと＿＿＿＿。
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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます！感想書いていただいて嬉しいです！伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください！ (2022年7月10日 23時) (
レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します！ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです！続編がますます楽しみになる作品ですね､､更新待ってます！ (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空華 | 作成日時：2022年7月4日 22時
