17話【社奉行】 ページ18
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麗の言葉を綾人は静かに聞く。
『彼女の理念を彼女が反しているなら臣民である私が抗わなきゃいけない。
臣民を守らなきゃいけない…じゃないと彼女がきっと後悔する……』
「臣民を守る…ですか」
『私のことは捕まえても構いません。
ですが先生のことは絶対に捕まえさせませんから』
麗はそう言い綾人に向かって手を差し出す。
その姿を見た綾人は1度目をつぶり鳥居の方に目をやった。
「………実にご立派な方だね。綾華」
『え?』
麗が不思議そうな声を出すと鳥居の方から綾華が姿を現す。
「試すような真似をしてしまい申し訳ありません。麗さん」
『綾華ちゃん!?』
「麗さんが偽の神の目の製造に携わっていると終末番から聞きましてもしそれが本当ならご協力できるのではないか、とお兄様に提案したのです」
「しかし私はあなたを知りませんでした。
なので少し試させていただいたのです。
あなたが自分か、他人か、どちらを先に優先するか」
突然の事実に麗は口を開け状況が理解できないという顔をした。
『え、っとそれで私は合格って、こと?』
「はい。あなたは自身を顧みず民の方を優先した。実にご立派な方だ」
『褒められることじゃない気もするけど』
「でも麗さんはご自身のことも心配なさって下さいね。麗さんだって稲妻の民なんですから」
『綾華ちゃん……』
自分よりも民の方が大事。
この精神は麗がずっと持ち合わせているもので自身はその優先順位の中では低いものだった。
綾華にそう言われ麗は少し考えた。
あの大変な時に何もできなかった私は本当に稲妻の民と言えるのだろうか、と。
「麗さん?」
『あっ、うんわかったよ。綾華ちゃん
肝に銘じておくね』
「それではこれから私は公務がありますのでこれで失礼します。
綾華、行こう」
「はい。お兄様」
『また来てねー』と大きく腕振る麗を神里兄妹は微笑ましい笑顔をしながら鳥居をくぐる。
階段を降りてからしばらく綾人が口を開いた。
「麗、ですか。聞き覚えがあると思いましたがまさか……」
「どうなされたんですか?お兄様?」
「いや、なんでもないよ。綾華、トーマに"神櫻転生録"という本について調べて貰ってもいいかい?」
「わかりました。頼んでみます」
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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます!感想書いていただいて嬉しいです!伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください! (2022年7月10日 23時) (レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します!ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです!続編がますます楽しみになる作品ですね、、更新待ってます! (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空華 | 作成日時:2022年7月4日 22時