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「とりあえず、その話を彼にも聞いてみたらどうだ
現時点でまだ活動しているなら、彼のほうが居場所がわかるだろう」
「うん、そうだね聞いてみるよ」
まぁ、上手くはぐらかされるかも知れねーけどなぁと彼は頭を掻きながら呟く
「誰かあてがあるの?」
「まぁな、
もしオメーの兄さんが組織に関わっているなら
俺もすごく気になるしよぉ
……あと気になることあるんだけどよ」
「うん?」
「小学生の頃、冬に何かあったりしたか?」
「何か?」
「例えば何か事件に巻き込まれた、とか」
「どうして?」
「ぼうやのいっているのは、これだろう?」
そういって彼が私に見せたのは
何かの切れはしだ
「なに、こんなの私持ってたっけ?」
「これは写真の切れはしだな
年号が消えかかっているが赤い文字をみると
2月、29日ということは閏年、いつか分かりそうだな」
「へぇ…」
「わざわざこれを封筒に入れたのも意味があるのだとしたら何かあったのかって考えるのが必然的だろ?」
「……なるほど?」
確かに言われるまで気づかなかったが、よくよく見るとメッセージ性があるようにも見えてくるから不思議だ
「それにこの端に写っている、このマークはイギリスの有名な車会社のエンブレムだ」
(…イギリス車…で、なにかあったか?
少しでかかっているけれど)
「ちょっと出てきそうだけど、
時間ほしい、確かに何かあった気がする」
なにか手掛かりがなんでもいいから思い出せるよう、他愛ない話をしながら、
少し時間を貰っていた
それにしても不思議だ
「君、ホントに探偵なんだね」
「なんだよ急に」
虚につかれたような彼の表情に、
私は苦笑いをしてみせた
(面影はあるけれど……いろんな意味で昔と変わったんだな)
「オメーのお母さんって確か双子だったよな
前に間違えたことあって、琉斗さんに笑われたことがあった」
「えーたしかにそうだけど、私からみれば
母と叔母はそこまで似てないよ〜
どっちかっていうと兄と従弟の方がそっくりだった
性格は気が強いのと弱いのとで真逆だったけどね」
(従弟は今どうしているんだろう
ってあれ、そういえば…叔母も従弟も随時会ってない……)
いつに会っただろうと、指折り数えて兄のことと一致したと確信したとき、
少しだけ目眩がしたと思ったら、
目の前が暗くなった
「大丈夫か?!?」
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作者名:ラズリー | 作成日時:2021年6月21日 8時